損切り万両

 プチプチとプチ株をはじめたのが、去年の九月。

 ちょうど、バカーンと下げたあとだった。だから、買ったら地合に乗って上昇。株ちょろい、と思った。思ってたら、11月にまたボカーンと下がって、さらに今ズコーンと下がっているところ。
 それで俺、所詮はプチ株なので、昨年末もスコーンと下がったプチ株たちを、何をするでもなくぼんやり持ち続けていたのだ。いったん上がったもんだし、まあ、上がるんじゃねえの? と。
 これはもう、馬券との違いから来る無意味なポジティブさに違いなかった。馬券は馬走り抜けて確定すれば、外れ馬券はその場で紙くず。0円。しかし、株券は違う。ゴールが来ない。スタートから三年後、ついにレゴラスがトップでゴールという可能性だってある。もちろん、紙くずそのものや、紙くず同然になることもあるだろうが、とりあえずは安くなった有価証券だ。
 ただ、そんな塩漬けを持っていても、面白くなかった。漫然とはじめたプチ株遊びだけに、面白くないのでは意味がない。やはり買ったりするのが面白いのであって、青くなった銘柄を眺めていてもつまらない。もっと早く見切りをつけなければいけなかったのだ。こないだついに半分以上処分したが、なんかすっきりした。もっと早くやっておけばよかった。
 というわけで、何はなくとも損切り万両。これの徹底。どこで読んだか忘れたが、「上がると思って買ったものなのだから、下がった時点で外れなのだ」という精神。むしろ、それは馬券的な見切り方。もちろん、0.1%でも下がったらというのは無茶なので、5%か10%かというあたりなのだろうか、まあそれでどうにか回して行こう。とりあえず、昨日と一昨日仕込んだものが、今はちょっと上がっているが、それがマイナスに転じたときに試してみよう……と、プラスになったものがどこまで下がったら利益確定するのか、それも難しいのだろうな。利食い千人力。はあ? 何それ? とりあえず損切りしたい。早く損しろ。