完全記録写真集『アドルフ・ガラント』を読む

アドルフ・ガラント

アドルフ・ガラント

 どんだけガーランド好きなんだよ? というわけでもないが、乗りかかったメッサーシュミットということもあって借りてみた。写真集とはいえ、キャプションの量も多く、まあ読むといってもいいだろう。いや、本来写真集も「読む」、というか「見る」ではなく「鑑賞する」ものなのだろうが、まあいい。
 しかし、さすがに良家の生まれで子供の時分の写真も多いし、さらにルフトバッフェ時代の写真も多く残されている。このあたりはナチスの広告宣伝国威発揚みたいなものの成果だろうか。オールバックに口ひげ、葉巻をくわえたおっさんのいかした姿に溢れている。
 しかしなんだ、機体に好んで描かせたというミッキー・マウス、二重の意味で怖いのでここに写真の引用はしないけれども(Googleのイメージ検索でも見てくれ)、なんだこの微妙さは。あと、戦後訴えられたりしなかったのだろうか。
 ほか、いろいろと知らないことはあった。というか、はなからよう知らんのだが。たとえば、この本の「前書き」を書いているのは「両足義足のエース」ダグラス・バーダーで、それって『始まりと終り』(あっちでの表記は「ベイダー」)であんまり好意的に書いてなかったのに、「途絶えることのない友情」って、実際に仲良いっぽいし。ああ、あれか、あの章のラストの、捕虜の立場が逆転した後、一日だけ歓待してくれたけど、次の日からはまたあの時みたいに姿を消してしまった、とかいうのは、ゲルマンジョークか? それとも、本格的に仲良くなったのはその後のことか? この写真集は1979年とあるし、戦後幾度と無く元エースパイロットの集いみたいなものに集まってるようだし。まあ、サブロー・サカイとイルマリ・ユーティライネンの写真はなかったけれども、戦争を生き抜いたエース、ハルトマン、バルクホルン、ラル、クルピンスキー、トウラウトロフト、その他いろいろ。中でも、ハルトマンとはコンビを組んでエアレースに出たりしている写真があって、ソ連抑留後のハルトマンは悲惨な感じかと思っていたら、そうばかりでもないようだ。そのあたりは、彼の本を読まねばなるまい。あとはもっと、客観的な本を。
 とまあ、本書はひたすらオールバックでひげのおっさんと飛行機と狩りとほかのおっさんと、あとおっさんとその家族の写真とかでいっぱいなので、お好きな人にはたまらないかと。俺? 俺はわりと嫌いじゃいないかもしれないが、しかし買うほどではないというか。

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Me262には例のミッキーは描かれていなかったらしい。

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