断片1
「……きさま、はてな精神に欠けているんじゃあないのか! はてな精神がなんたるものか言ってみろ!」
「め、瞑想、運動、野菜350gであります! じ、自分は、革命的はてな精神に則り、内なるプチ互助会主義を批判し、真のはてな村民になることを誓います!」
「……ぜんぜん、総括になっていない! 総括援助が必要だ! わかるか、ここは印旛沼だ! 穴を掘れ、自分の首までの深さの穴を掘るんだ! きさまには熊による総括が必要だ!」
おれは森の中に踏み込んで、錆びたスコップで穴を掘り始めた。空はどんよりと曇っていた。なんでこんなことになったのだろう? 問うても無駄であった。すべては決まってしまったことなのだった。
断片2
おれはゼブラという名のカフェにいた。
ほかに三人の男たちがいた。k氏、r氏、z氏であった。おれは明らかに場違いなことに恐縮しながら、アイス・コーヒーをすすった。時間は永遠に過ぎていくような気がした。
気がつくとおれはべつのゼブラカフェにいた。ほかに三人の男たちがいた。k氏、r氏、z氏であった。おれはアイスティーを啜っていた。疲弊、休息、果たしておれは家に帰れるのだろうか?
断片3
我らがはてな青年銀輪団は四人の同志(kns同志、rズィロ同志、zkb同志、gdh同志)で互いに助け合いながら宮ヶ瀬湖への視察を行った。坂も小雨もなにするものぞ、猛進するわれらが同志の力強さ。一行は津久井湖、宮ケ瀬湖の視察を行うとともに、意欲あふれるピオネールたちによって開拓された牧場であらたなる強い革命遂行の意志を確認した。自転車行後は革命的喫茶店でフランスのテロならびにトルコのクーデターについて熱い討論が行われた。同時に、失われた人命に深い哀悼の意を表明し、世界的団結の必要性について強固なる確信を得た。同志一行のうち三名は米帝の支配下にある国土の強行偵察を行い、今後の方針について検討することとした。
断片4
「一生会うことはないと思っていました」と言われたので、まったくそうだと思った。おれがこのような場違いの場にのこのこ顔を出したのもすべて大阪行きがそうさせたのだった。
もっとアグレッシヴに生きてもいいんじゃないのか。見知らぬ人と出会うこともいいんじゃないのか。そのような気になって、のこのこと出向いてしまった。
ネット上でのクラスも、自転車乗りとしてのクラスも、一段、二段上の人たちである。必死になって喰らいついていった。ひたすら唯一人のサイクリングを貫いてきたおれには(正確には女と一緒にヴェルニー公園くらいは行ったが)、マイペース(写真を撮るのを口実として停車する、ハンガーノック予防を口実として停車する)がないというのはなかなかにつらいものであった。
しかし、自分一人では楽しがちな巡航速度などについては、いつも以上のものも引き出せた。車線や交差点での挙動などについても、あらためて学ぶところが多かった。まあしかし、それにしても左足攣りそう(右足に比べて、足をつく、走り始めてからのハーフクリップを引っ掛けるという動作を伴う)ではある。最後、二人になったときも、交代してトップ引きするべきだったろうが、ついていくのがやっとであった。
MKS(三ヶ島) プライム シルバン ツーリング [PRIME SYLVAN TOURING] ペダル チタン
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ちなみにこの「ペタル」とハーフクリップで100kmは走れます。
断片5
ここは理想の農園なんかじゃねえだよ! 毎日二個のオギノパンと塩スープで重労働させられるだ! それで家畜公園で働かされるだ! 逃げ出そうなら包丁だ! あんた、山を下りてこのことを世間に知らしめてくれねえだか!
オラぁもう、家畜公園も堆肥販売も、ブロックノイズのひどいトラックもうんざりなんじゃあ!
断片6
コーヒーが、薄い。
断片7
おれは坂が嫌いというか、すぐ脚を攣る嫌な印象しかなかったが、やはり苦手ではあった。自分一人では途中で引き返していたことだろう。平地をマイペースでひたすら走る。休憩はコンビニのみ。あとはひたすら走る。店に入ったとしても牛丼屋のチェーン。そんな経験しかない。いくらか走ってストップ、店に入るなりする。また走る、そういう経験がなかった。これは新鮮であった。これで100km超走るというのも新鮮であった。
断片8
16号、帰り道の謎は解けなかった。前を行く人たちに必死についていくだけで、どこをどう走っているのかわからなかった。無責任さを反省したい。三人が二人になる場所、「あ、ここ、祖父の葬儀やった場所の近くじゃね?」と思った。川沿いを進んで出たところは、おれが夢にまで見た向こう側からこちらがわにくる56号の出口あたりであった。理屈はよくわからない。
断片9
支那そばと中華そばの同居は2011年以来変わっていなかった。おれはなにが変わっただろう。自転車は別物になったが、背負ってるすばらしいドイターのトランスアルパインも変わらなければ、ヘリハンの長袖インナーも一緒じゃないのか。進歩がない。
断片10
#LGTM @lgtmcamera pic.twitter.com/4dQtdw3wJt
— 黄金頭 (@goldhead) 2016年7月16日
断片11
貴重な体験でした。みなさまありがとうございました。
断片12
店舗に入り飲食したので水分、食物、摂取量不明。手持ち分では麦茶600ml、ポカリスエット250ml、水300ml……くらい。待ち合わせ場所で塩おにぎり一個。携帯していた予備のおにぎり一個、小型クリームパン五個は晩ごはんになる予定。
断片13
走行距離115km。サイコンによる。RunKeepersは途中でうっかり止めっぱなしにしてしまったため不明。また、iPhoneの予備バッテリーを持って行ったのにケーブルを間違えるという致命的なミスを犯した。反省したい。Av.21.2km/hはおれにとってはややオーバーペースか。
断片14
平坦な道を、200km。平坦な道なら、200km。衰えていく身体能力。しかし、これを達成せずにクロスバイクを手放してしまった、という思いはある。もう少し、ロードバイクに慣れよう。立ち漕ぎなども研究しよう。そう思う。……意外にポジティブ。
断片15
サイクリングロードでビアンキ尊師を追い抜いた。ビアンキ尊師はこれ以上ないくらいのボロボロの服を身にまとっていたが、自転車はビアンキのクロスバイクなのである。南町田の言い伝えによれば、ビアンキ尊師を追い抜いたものには43億2000万年ののちに幸福が訪れるという。