排水口にたまった土からコムラサキが生え、繁り、実もそろそろ色づこうというころ。
こんなんなってもうた。
土曜だったか日曜だったか、昼ごろ起きて、なんかごそごそ外から音がしてて、「近所に植木屋でも来てるのかな？」と思ったら、このアパートやった。コンコン、とドアがノックされたら、赤い制服を来た便利屋のおっさんがいた。「いまから洗濯物を干している下の雑草をやりますけどいいですか？」というので、寝起きで髪型がすごくなってるおっさん（おれ）は「いいですよ」と言った。じゃまになると悪いと思って洗濯ハンガーは部屋の中に引っ込めた。
それで、終わったあとに出てみたら、こんなんやった。根こそぎや。斜面に生えていた（植えていた）ハーブだの、どっか近所の園芸好きの家から流れてきた紫御殿だの、なによりコムラサキがなくなってもうた。
おれは、草ボーボーでよかったんやけどな。まあ、管理会社が「こんな草ボーボーでは資産価値が」というところかもしれんし、大家がそう考えたんかもしれんし、そもそもこの安アパートはおれのものではないのだからしょうがない。プランター数個はおれのものだったがなぜか植物は刈り取られていた。
まあ、さっぱりしたものだ。しかし、これではあのしれっとしたバッタの人たちが住むところもなくなってしまった。まあ、しれっと別の草地を目指して旅に出てしまったのだろう。残念な話である。
とはいえ、萌芽更新じゃないが、べつの植物にとってはチャンスではある。コリアンダーの種でも蒔いてやろうかと思っている。
