こんなまとめを読んだ。
高嶋ちさ子はどうでもいい。彼女の言ったことが短期間のうちに繰り返されたのか? 自費治療だったのか? なにもわからんからだ。
それよりも、おれはこの「現役医師」の言うことに、なにか非常に疑問を覚えた。
「セカンドオピニオン」の活用を。
— AMAPSYMED (@AMApsymed) March 4, 2025
1か所目の診療で医師の説明に納得できない時、他の医師の意見も聞いてから治療方針などを判断する制度です。
なお保険は使えず費用は全額自己負担(1回1-2万円程度)です。
保険での複数医療機関受診(ドクターショッピング)は『迷惑行為』ですのでやめましょう。
セカンドオピニオンは自己負担。これは知っていた。とはいえ、2023年に知ったことだが。
ここに書いてあったことは、主治医の申し送り書が必要で、30分3万円が相場だということだった。
で、話は冒頭の「精神科のセカンドオピニオン」に戻る。なぜこの本を読もうと思ったかといえば、双極性障害のオーソリティである加藤忠史先生の名があったからだ。それに、おれだって、「おれも双極性障害と診断されて手帳まで発行されているけれど、身体が麻痺、硬直するような症状はめずらしいと言われたし、ひょっとしてなにかべつの病気かも」と思わないでもないのである。
で、知って驚いた事実が、「セカンドオピニオンは保険適応外、自費診療」という事実だった。これは精神科に限らないことらしい。びっくりした。想像していなかった。無知を恥じるばかりだ。
で、精神科のセカンドオピニオンというのも、三十分で三万円とかで、主治医の申し送り書があっても十分な診断ができるかどうかという話であり、さすがに異常な多剤多量処方などについてはわかるが、基本的に「主治医の方針でいい」ということになる、みたいな話だった。
そしてむろん、主治医に「セカンドオピニオンを聞いてみたい」と言い出すことの、患者側のハードルというものがある。血液検査やレントゲンでわかるものでもない精神疾患、その診断について疑義を持つということは、その医師を信頼していないという表明にもなりかねない。関係性にひびがはいる可能性もある。そのうえで、短時間で高額なセカンドオピニオン。あえて受けようという人は少ない。
そもそも、セカンドオピニオンというもの自体は、アメリカの保険会社が癌の手術前などに複数意見を聞いておくべき、というところから始まったらしい。精神科について適用される保険があるかどうかわからないが、ひょっとしたらそういう保険もあるかもしれない。そのあたりはわからない。
にしても、まあ、なんだ、べつの医師の見解を聞くのがけっこうハードル高いというのは意外だった。むろん、「初診です」ということにして診察を受けることは可能なのだろう。
というわけで、おれは「初診ということにして」、ほかの医師の意見を聞くことが「可能なのだろう」と書いた。あまりにもハードルが高い。癌やなにか客観的な度合いが高い分野ではない。心療内科、精神科などでは、患者と医師のラポールの形成が必要になる。一度でわかるかといえば、わからないこともあるだろうが、わかることもあるだろう。すべては相性だ。Googleなどの評価で「デリカシーがなく、人の悩みを笑うようなひどい医師」というのが、人によっては「ざっくばらんに腹を割って話せる先生」ということになるかもしれないし、「機械的に薬を処方するだけで悩みをわかってくれない」という医師が、逆に「理知的できっちりスマートな対応をしてくれる先生」といわれることもあるだろう。
心療内科や精神科はそういう関係が大きな問題になってくる領域じゃあないのか。全国一律でAIが対処するならともかく、人間なんだ。オピニオンではないように思う。人間性が合わない、というのは大きい。無論、治療方針、処方される薬がぜんぜん合わないということもあるだろう。まあ、薬なら「この薬は合わないので変えてほしい」といって話し合えばいいが、聞いてくれない医師だったらどうするのか。
そこで、セカンドオピニオンとはならないだろう。高嶋ちさ子などは大金持ちだろうが、精神を病んで働くのが辛い人間なんて、金ないやつ多いんじゃないのか。それが、効力も怪しい30分の自費診療を気軽に受けられるというのだろうか。
『必要性は否定しませんが自費でやってください』
— AMAPSYMED (@AMApsymed) March 5, 2025
というのがセカンドオピニオンという制度です。
2件目3件目の診療は、いわば「ぜいたく品」です。
本来、保険診療でカバーするものではありません。https://t.co/nZ04fQlvJc https://t.co/TE3fwI440b
それを「ぜいたく品」というのは、あまりにも患者の側の事情を汲み取っていない、傲慢な医師の物言いのように思えてならない。この医師は、どんな患者が来ても、ラポールを形成できるというのだろうか。自分と合わない患者などいないというのだろうか。そのうえで、他に行こうとする人間を「ぜいたく」と罵るのだろうか。おれにはちょっと理解できない。そんな神や聖人のような医師が存在するのだろうか。
というわけで、おれは高嶋ちさ子をかばう気持ちは1ミリもないが、心療内科や精神科において、せいぜいネットの口コミくらいしかない状態で訪れた1軒目が絶対的だなんてことは否定したい。斎藤環医師も「バクチ」という表現を使っている。
この方のことは良く知らんけど、ひきこもり界隈では医者の当たり外れが多すぎて一箇所に賭けるのはバクチに近い。何カ所か回って相性のいいところを選ぶのが吉。業界ではドクターウィンドウショッピングと言います(嘘)https://t.co/9nXeKvRCbG
— 斎藤環 @つくばダイアローグハウス院長 (@pentaxxx) March 5, 2025
5軒は行き過ぎかもしれないし、高嶋ちさ子みたいな人間の態度がよくないというのはある(ただ、自分に病識のようなものがあるのは悪くないかもしれないが)。それは認める。認めるが、精神科医が2軒目、3軒目を「ぜいたく品」あつかいする物言いには、まったく納得できない。腑に落ちない。向こうが医師なら、こちらは底辺の精神障害者の言うことだ。世の中の健常者や金持ちがどう思うかは知らない。でも、おれは下からこの物言いを批判したい。批判とかいう理知的な内容でないというのならば、感情的な「お気持ち」表明でもいい。おれはこういうお気持ちになった。それだけだ。