映画『侍タイムスリッパー』感想……どこまで計算なのか?

 

横浜ジャック&ベティで映画『どうすればよかったか?』を観たときに、『侍タイムスリッパー』再上映するで、という予告があった。『侍タイムスリッパー』、ジャック&ベティの年間アンケートでも一位だ。というか、たいへんに話題になっている。あれだ、『カメラを止めるな』みたいな盛り上がりだ。

 

で、ジャック&ベティに行くかなあと思っていたら、アマプラに流れてきていたので、なんかもうそれ見てしまった。結論から言えば、ジャック&ベティみたいなミニシアターで見るのが雰囲気的にええかあなとは思った。

 

でもって、内容なんやが、おれはネタバレを好まないので、ネタわかっているところの範囲で書くが、これはタイムスリップの話や。幕末の武士が現代の太秦みたいな映画撮影所にタイムスリップするのや。

 

そのていどの事前情報しかしらんかった。でも、そのていどの事前情報でよかったやと思う。でな、ともかくな、メタな話として、低予算映画ということも知っておった。えらく、たいへんな低予算映画で、監督が愛車を売ったとか、そういう話はなんか知っておった。

 

でな、やはりな、チープなのや。低予算映画なのや。おれは、人並みに……とは、基準がわからんが、ジャック&ベティにそこそこ行くていどに、低予算映画も見ているつもりなのやが、本作も低予算の感じには満ち溢れていた。全体的に、低予算映画なのや。それはなんか、隅々にまでいきわたる低予算映画なのや。

 

しかしな、それが、逆にな、すごくな、ものすごくな、活きてくるのやで。それはもう不思議な感じなのやけれど、なんかチープやなという写真の感じのなかにあって、主人公の「マジ侍」感がぐんぐん増していくのや。もうそれは、すごく「本物感」のすごさがあって、それはもちろん、主人公の役者の人のすごみがあってのことなんだけど、それが際立っていくのであってな。

 

でな、それがな、どこまで計算されたものかわからんやでな、まあ、ちょっとだけ、関連記事とかYouTubeで舞台挨拶とか見たんやけど、そういうところを意図した感じもなくてな、偶然の産物というなら、そういうものなのやろうと思ってな。

 

そう思って見るとな、本当に、本物が本物に見えて、なんかな、それがな、メタ的に時代劇というもののすごさやでってメッセージにも思えてきてな、それがこの作品のすごみになっておってな。いやあ、えらい演技というか、本物というか、本物感あったなあって思ってな。そのかっこうよさというのは、やはり見なければわからんというところであって、それが映画やというところがあって、ああ、これは映画の映画で、ええ映画のええ映画なのやでというところやでな。

 

そういうわけで、あれやな、まだ近くのシアターでやっているならそこで見たほうがいいだろうし、そうでなくても、アマプラで見る価値ありやで、と言っておくのやで。低予算映画ゆえに生まれた奇跡かもしれんのやで、な。