おまえもイヌにしてやろうか - 深町秋生『ドッグ・メーカー』を読む

 

  カラオケのモニターを顎で指した。

 「気晴らしに一曲歌っていったらどうだ」

 木根は首を横に振った。

 「ド下手なんだ。あんたの前で喉を披露したら、そいつを録音されて脅しのネタにされそうだし」

 「そうするつもりだった」

 木根は泣きながら笑った。

 しばらくウイスキーを舐めながら、やつのグチにつき合った。イヌの頭をなでるのも仕事のうちだ。脅し一辺倒では飼いならせはしない。

主人公は手段を選ばぬ一匹狼。元は公安三課、そして組対の凄腕刑事。今は人事の監察官となっている。「ドッグ・メーカー」とは情報提供者を作るのに長けたことからつけられた呼び名。警察(カイシャ)内に犯人がいるかもしれない警察官殺しを追い……という話。

深町秋生と警察小説。今度は警察の中の中である人事一課が舞台となっている。警察の警察、イヌのイヌ。そこで、主人公は次々に首輪をかけ、イヌを作っていくが、と。

おれの親戚には警察官の親子がいて、いまはどちらとも辞めてしまったのだが、まあ彼らから聞く話と、警察小説、符合するところを読むたびに面白くて仕方ない。むろん、現実にこれほどの事件があるというわけじゃあないけれど。……ってのは前にも書いただろうか。

というわけで、読みだしたら止まらない一冊。が、しかし、おれはふと思った。これ、イヌにされた側が主人公だったらどうだったろうか、と。主人公の立場はいきなり瀬戸際、飼い主の言うことを聞きながら、首輪を外す隙をうかがう、出し抜こうとする、だが相手は名うての「ドッグ・メーカー」。さらにその「主人」を狙う巨悪の存在……。でも、なんか主人公が(物理的に?)首根っこ掴まれてるのは『卑怯者の流儀』でもあったっけ。ともかく、なんとなく思いついただけ。しかしまあ、この小説の最初のイヌが主人公だったら、読者は感情移入もしにくいことだろうが。

つーわけで、ともかくノワール好き、深町秋生好きなら読んで損はない一冊。……いずれ、深町ポリス&アンダーグラウンドオールスター大集合とかやってくれたりするんだろうか。いや、そんな夏休みの戦隊モノ映画でもあるまいし、とかね。

 

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