タップダンスは終わらない

http://www.nikkansports.com/ns/horseracing/p-hr-tp0-041227-0008.html

 道中は11秒台のよどみないラップを刻み続けた。だれもがオーバーペースだと感じ、佐々木晶師は何度も「もう止まる」と思った。違っていたのは佐藤哲1人だけ。「乗ってるおれが楽しかったんだ。みんなも楽しかっただろう」。人馬の呼吸はピタリとついた。最後はロブロイの強さをたたえるしかない。

 「乗ってるおれが楽しかったんだ。みんなも楽しかっただろう」―私はこのセリフにしびれた。五百十六億円の大金が投じられたレースを終えて、こう言ってのける。まさに佐藤哲三こそ男の中の男、現代の‘いくさ人’じゃありませんか。また、私はたいてい一着二着の騎手がハイタッチをする光景が嫌いなのだが、この日ばかりは違ったのである。昨日のハイタッチこそは、真剣勝負をした者同士のやり取りであり、私のような昭和生まれがたとえると話が古くなるが、「我はたたえつ彼の防備 彼はたたえつ我が武勇」(水師営の会見)の精神そのものである。
 もしかして禍根を残すのでは、と心配もされた急転直下の現役続行。上の記事にもあるように、どうも一転して明るい話題となったようだ。「金鯱賞に来いや」もいいが、キングジョージあたりに追いかけていくというのも、また‘ターフの喧嘩屋’らしくていいじゃないかと思うのだ。いずれにせよ、来年も楽しみな二頭である。