秋葉原が案外近いことに気づかれて

 俺は俺がオタクなのかどうか正直よく分からない。あるサイト界隈などをウロウロしているのでオタに関するいろいろについて無知なわけではないし、雰囲気やそういったものもわかる。が、門前の小僧習わぬ寿司を毎日食う毎日ですといった塩梅であって、実際に漫画・アニメ・ゲームの何かを知っているかと問われると、今現在のものはわかりませんとしか言いようがない。似非オタであり似非非オタなのだ。
 秋葉原は遠い街だ。しかし、何度か行ったことがある。十年も前になるだろうか、友人の内の一人がエロゲーを買いに行くのにつき合ったのだ。アメ横もセットだったと思う。その時の秋葉原の印象と言うと……あんまり覚えていないや。金持ちのそいつが買い込んだエロゲーのパッケージのでかさと量に唖然とした覚えはある。あと、飯を食うところがわからなくてうんざりしたような気がする。
 「メイドカフェに行きたい」などと言われたらどうしますか? 俺があまりオタ世界を知らないのなら「よーし行ってみよう」ということになるかもしれない。しかし、俺は中途半端にオタの空気を吸っているつもりになっている。ゆえに、なんというか、そういう見物的にアキバに行くのはどうなのか、というような気後れがある。だいたい、俺はそこに耐えられるのかよくわからない。何をどう耐えるのかもよくわからないが、素人が踏み込んでいいのか、という気になる。曰く言い難い抵抗感。俺自身の不確かさ。しかし、京浜東北線はだらだら乗っていると乗り換え無しで秋葉原に着く。
 俺は小型の掃除機が欲しいと思っている。ハンドクリーナだ。百歩譲って家電を買いに行くのならいいだろう。しかし、それならばほれ、伊勢佐木町の石丸電器に歩いていけ。桜木町のドンキでもいいじゃないか。金がないのでパソコンやデジタル製品とは無縁だ。萌える何か……。いや、俺の手には負えない。ブームが去るのを待つのがいい。だらだら乗っていると浦和などに着いて、浦和競馬などやっているかもしれないからな。