OhmyNEWS23-24!

足の光るスケート靴

 昨夜はがんで死んだIT社長をやっていたので、今夜も総集編だろうか。母を殺したい14歳。家の中にカメラが入って、殺されそうになった母親が映ったのにおどろいた。どうかと思う。というか、だからこそか。こんなものか。藤原新也の『渋谷』(id:goldhead:20061101#p3)か。けれどこの子は賢そうだ、優しそうだ。俺はほとんど確信するのだけれど、俺は彼女に生涯年収でぜったいに負ける。カリスマ店員とかになるだろう。
 年収……孤独日記セカンドインパクトは、クリスマスプレゼントだったのだろうか。彼の年収はすごいことになっており、貯金もたいそうなものだ。世間的に見ればすごくもたいそうでもないのかもしれないが、俺からすればかなり見上げる形だ。いったい俺はどうやって生きていけばいいのだろうか。せめて一般成人男子に求められる程度の筋力があれば、仕事の幅は広かったはずだ。俺は障害者ではない。ただ、人よりチビで非力だ。160cmだ。もしも平均身長でもあれば、いったいどれだけ心の平安があったろう。人生はバラ色だったろう。自信も生まれ、社交性のかけらくらいは手に入れられたはずだ。俺より条件が悪い人間も多いが、良い人間の方が多い。人並みでいいのに。人並みでいいのに。まったくついていない。労働に不向きだが、労働せねば食えぬ家に生まれた。
 母を殺したい14歳の話だったか。家族の食卓だったか。俺が親殺しを試みたのは、驚くべきことに幼稚園、いや小学校低学年だった。叱られた腹いせに、寝ているあいだに釘が刺さって死ねばいいと、親の布団の下に五寸釘を何本も仕込んでおいたのだ。横に転がってる釘は刺さらない。俺には殺人者の才能はなかった。親は叱った仕返し、嫌がらせであると気づき、悲しんで怒ったようだが、俺の殺意には気づかなかったかわからないが、触れはしなかった。おお怖い。しかし、殺せていたらどうなったろう。一連の親殺し、「殺して再チャレンジ」の印象すらある。保護、更生、それよりなにより自由を得るはず。
 今年の十大ニュースと世間のことを考えて十個埋める自信はない。しかし、夕張市の破綻は確実に入る。あれは俺の世界観に合致している。家は失われ、あったものはなくなり、誰もいなくなって、静かになる。それが、世界だ。世界の時が進むというということだ。幸いなことに、それは夕張市にとどまらない。都会の発展が地方にじんわりと広がっていったように、今度は夕張からじんわりと日本が死んでいく。国と己の世界が一致して悪い気はしない。店はつぶれ、家族は離散し、かりそめの友はいなくなる。咲かせていた花は枯れ、猫は姿を消し、馬は走るのをやめる。雪が積もって真っ白になる。春になっても誰も出てこない。