蛍光灯の色ひとつ

 引っ越したときにあわてて買った蛍光灯。一番安かったやつ。丸いやつ、30型と32型の二重。電気代節約のために、30型しかつけなかった。このつけなかった、というのは点灯の意味で、32型も装着されっぱなしだった。やろうと思えば、同時点灯もあり得たのだ。うっかり両方つけてしまってしばらくすると、明るすぎて気持ち悪くなった。
 当たり前だが、30型が先につかなくなった。そこで俺は、30型を取り外した。今度は32型を使い切ってやろうという意図。それで数日。俺は明るすぎて耐えられなくなった。なんか目に悪いよ。
 それで俺は、30型の新しいのを買った。蛍光灯のほかに、なんかはめるやつも買った。一番の肝は、選んだ蛍光灯が電球色だということだ。32型の明るさに耐えかねて、30型でさらに電球色にしたのだ。
 これが想像以上によかった。俺は黄昏が好きだ。黄昏みたいな部屋が、いっそう黄昏みたいだ。ものを読むのに少し暗い場合は、32型の同時点灯でもいい。少し中和される。32型も切れたら、そっちも電球色にしよう。
 蛍光灯くらいでこんなに変わる。これは意外な発見だった。もっとほかにいろいろと変えれば、いろいろと変わっていくのかもしれない。しかし、二年だか三年だか変えずにいて、ここで変えたからこそこの変化の喜びを享受できた。変え続けることに変わることはない。機会に任せるのが面白いのだろう。たぶん。