甘いブラックコーヒー

 ここのところ職場のコーヒー、ブラックなのに口に含んだ瞬間になんとも言えぬ甘味が舌の両奥に広がる。広がったあとにコーヒーの香りと苦味、酸味が来る。
「豆を換えたんですかね? 不思議な味しますよね」と俺。
「どこが?」と彼。
 一応、聞いてみただけだ。そうだ、俺だってわかってる。この甘味は、コーヒーの持つ物ではない、と。この騙されたような感覚、方向は逆だが、ギムネマによって甘味を阻害されたときの感覚に似ている。ひょっとしたら、ミラクルフルーツがこういった効果を与えてくれるのかもしれない。
→味覚修飾というらしい→http://taste-m.com/index.html
 ……だけれども、俺はミラクルフルーツ的なものを毎日食ってるわけでもない。毎日食っているものといえば……、キシリトール入りガム、くらいだろうか。忙しくなると、アホみたいにガムを食う。それが何らかの働きをして、ブラック・コーヒーの味を錯覚させているのではないか?
 ……と、思っていたのだが、今日、まさに今日、今日はガムを一枚も、一粒も噛んでない。それなのに、コーヒーが甘かった。あれ? これって味覚異常? 味覚障害? 
→あなたの味覚は大丈夫?→http://www2.health.ne.jp/library/5000/w5000117.html
 この分類によると……、「異味症」だろうか? 「異味症」で検索をかけてみる。
→シーチキンがパイナップルの味に→http://snail.exblog.jp/793963/
 シーチキンがパイナップルの味とは、コーヒーが甘いどころじゃあない。シーチキンを食うたびに、宅配ピザのハワイアン・デライトみたいな気持ちになってしまう。ところで、「異味症」には別の意味があるようだ。Yahoo!辞書(大辞泉)によれば次のよう。

土・壁土などを好んで食べる異常食欲症状。回虫症や鉤虫(こうちゅう)症でみられ、妊婦やヒステリー患者でも軽度の似た症状がみられる。異食症。異嗜(いし)症。

 いや、えぐいな。偶然名前がかぶってしまったんだろうか。いやはや。
 ……えーと、俺のコーヒーの話だ。俺がこの甘味を感じるのは、職場で職場のコーヒーを飲むときだけ。家でコーヒー飲んでもなんともない。ましてや、ほかの飲食物に違和感はない。それになにより、異常味覚のブラック・コーヒー、これが甘露かという美味、美味、美味。まあ、気にしないで放っておこうっと。