ドジャースブルーの黒田さん

 ドジャースは4年契約を提示したが、これを黒田がけり、3年を要求して合意した。選手側から契約短縮を申し出るのは極めて異例。ヒラード氏は「今回のケースは普通ではない。お金が黒田の決断材料ではなかった。金銭だけならもっと高いオファーがあった」と驚きを隠せなかった。
 黒田は将来の広島への復帰を希望し、3年契約を求めた。16日(日本時間17日)の入団発表後、現地をたち、帰国後は広島球団へのあいさつと会見を予定している。

http://www.chugoku-np.co.jp/Carp/Cw200712170064.html

 俺は黒田博樹をこう見ている。「フリーエージェント権獲得後の一年をポスティング避けとリハビリ、試運転期間のために使ったとは思わない」と。これ以上でも、これ以下でもない。安易に非難の言葉を投げつける気にはならないが、男気だなんだと持ち上げるつもりもない。
 さて、そんな微妙きわまりない心情にあるカープファンの俺を置いておくとして、黒田の大リーグ挑戦はちょっと不安だ。「国際球のとき、あんまりフォークが落ちてないように見えた」というのもあるけど(シュートが武器だからいいか)、それよりも退路を断ってない感じがどうかと思うのだ。カープファンとして帰ってきてほしいかどうか、それは別として。
 大リーグに挑戦し、アメリカに骨を埋める覚悟……というほど、彼の地が未踏の場ではなくなった、悲壮感溢れる冒険への旅立ちではなくなったのは確か。しかし、やっぱりどうだろう、「僕には帰れるところがあるんだ」というものがあって勝ち抜ける世界か。ここは一つ、「ワシには生まれたときからドジャースブルーの血が流れとったんや!」くらいのことを言って、退路を焼き払って背水の陣、水をおさえられて馬謖大苦戦、王平孤軍奮闘という方がいいのではないか。
 だいたい、黒田がいない間に、長谷川や大竹が超本格化したらどうするんだ。黒田の居場所があるかはわからんのだ。黒田に払う金があるかはわからんのだ。いや、その場合は長谷川か大竹売って……って、三年後まで黒田が今の黒田か、カープが今のカープかはわからんのだ。ひょっとしたら球団消滅……というのではなく、簡単に帰ってこれるような、居場所のあるようなチームだと見くびるなよ! ってさ。
 ……というか、正直なところ「将来カープに戻りたいという意志はまったくの出任せとは言わないが、契約に関して影響を及ぼすほどではない」と見ているので、なんかこれ、どうも何だかな、と。中国新聞大本営発表は、黒田持ち上げでいこうというのは見え見えなのだが、はたして……。