映画『ぼっちゃん』……もっとちゃんとしてくれよ

シネマ・ジャック&ベティにて。
秋葉原無差別殺傷事件をモデルにした映画である。おれは心に宅間守メーターを持っている、双極性障害期外収縮睡眠障害SAS)持ちのきちがいだ。ゆえに、どれだけ「普通の」人間をドン引きさせてくれるか期待した。それが間違いだといわれればそうなのだけれど。
■監督の大森立嗣というと『まほろ駅前多田便利軒』がわりと好きなので、そこらで期待もあったのだが。ドラマをそのあと見るに、ありゃ主役二人が強いのか。
■で、そういう目で見た『ぼっちゃん』。なにか、アキバの事件とか、それ以前の問題だろう、というのが正直な感想だ。
■とてもささいだけれど重要なこととしてまず言いたいのは、性悪のイケメン君について「なんで警察に通報しないの、今」というタイミングが何箇所もあるということだ。ありゃおかしいだろう。病院とか、あんなんなったらポリス呼ぶだろ。つーか、看護師も最初運良く逃げたときに呼ぶだろ。
■モデルになった事件は、言いようによっちゃもっと不自然で不可解かもしれない。さらに、そのモデルの牛丼に焼きそば載せてみたってだね、だからって、味以前にね、そういうところきちんとしてくれなきゃあかんちゃうん? え、スプーンじゃ食えねえみたいな。我ながら比喩が腐ってるけど。けど、そういうとこ吹き飛ばすほどのパワーがねえんだ。スピード感もねえんだ。
■それでまあ、焼きそばなんだけど、なんでブラックロック君を出してきたかね。なにか意図はあるんだろうけど、説明不要というか、聞きたくないというか。それで、最後のほう、なんでああいうふうになっちゃうんだろうね。観念的に行って、語ってしまうんだろうね。もっと行動でというか、うーん、この、どうしてグダグダってなってしまうん。そういや、『まほろ』も最後の方そうなってたっけ。
■そんなわけで、なんか同行二人になってしまっては違うやんという。二人にした意味があるんだ、っつっても、少なくともおれはこの映画の中で意味を、意図を、意志をはかりかねた。わからなかった。もっと暴力的にいくなら、でんでんが必要なんだ。ラーメンの獣臭さが足りないんだ。
■それにしても、このいけてない主人公とその友達の、滑稽の描かれ方。おれにはひどく悲しく見えたのに、劇場じゃわりと笑いをとっていたんだな。わりと。それに若干なにか違和感があった。いや、当たり前の笑い。おれだってクスリと来たシーンはある。あるけれども、どうなの、という。そっちがわから作ってんじゃねえのかって。
■そっちがわがどっちか、実際のところどうかとか、そこまでは問う必要はないにせよ、だ。ネットへの書き込みだって上っ面の言葉だけ拾ってきてる感が強くて、なんだかなあという。いや、そもそもケータイで彼がなにやってんのかすらしっかりと描かれてない。そのあたりは現実の方で、と言われても、いまいち繋がんない。なにかが音信不通になってる。
■……と、いまいちだったということばかり言っててもきりがないしな。ただなんだろうね、言葉にならないから「あー!」って叫ぶ彼に、彼らにラップがありゃよかったのにね、とかは思ったけどね。というか、MC TOMじゃねーし。そんじゃ。
■あ、あと、エンドロールで協力みたいなところに作中そのまんまの工場名出てきていいのかよと思った。ラブホはいいんじゃねえのかとか思うが。佐久市は寛大な? ところだ。

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……醤油もってこい! 口直しだ!

 あと、宅間守的なことはだいたいブックマークの多いエントリの中にありますので。