『BUSHIDO MAN』を観る

 自主制作映画ゆえか、『ネブラスカ』を観た直後だったせいか、ひどく安っぽい画面に見える。が、すぐに気にならなくなる。ひたすらに飯を食い、敵と戦う映画だ。敵を知るには、敵の食べ物を知ることが必要という流儀だ。だから、沖縄のヌンチャク使いと戦うまえには、ソーキそばやタコライスを貪り食う。
 人がものを食う光景というのは、基本的に下品なものだろうと思う。それゆえに、西も東もなんらかの食事のマナーが生まれたりしたのだろうと思う。とはいえ、おれは人がもの食う下品さが嫌いじゃあない。むしろ、下品なら下品で貪り食うところを見るのが好きといっていい。年末にはテレビ東京の大食い世界大会などを見て喜ぶたちである。
 というわけで、武道家が、飯を食って、カンフー使い、盲目の剣士、ヤクザなどなどと戦っていく。それだけの話である。とはいえ横浜は銃刀法もない無法都市になっていて、ガスマスクなしでは立ち入れなかったりいて、横浜はじまったなという気もする。
 食う話はしたが、戦いはどうなのか。アクションはどうなのか。これは見事なものかと思うが、少年漫画やらなんやらで見たことあるようなネタばかりという気もする。知っているのか雷電、という気にはなる。でも、いいんじゃないかという気にもなる。『地獄でなぜ悪い』な感じでいいじゃないかという気になる。あとは、パンチすると発砲するという意味があるのかないのかわからないガジェットがわりと好きだった。あれの連発はわりと見応えある。
 おれが本作を手にとったのは、監督が『THE NEXT GENERATION -パトレイバー』を何作か手がけているからである。食うところに、押井守テイストがあるといえばある、という感じがする。『パトレイバー』の方については、いずれまとめて書く。