船橋方面よりナシをお贈りいただいた。博奕をする身としては「アリノミ」などと言うべきかもしれないが、ナシはナシだ。ナシはすばらしい。おれは酸味というものを非常に忌避するところがあって、果物のなかでもリンゴというものはあまり好まない。イチゴなどもそうだ。おれはパフェというこの世のなかで最高にすばらしい食べ物を好むが、イチゴパフェは好まない。なぜなら、イチゴが酸っぱいからだ。おれは甘いとされるリンゴやイチゴのわずかな酸味すら「すっぱい!」となってしまう。子供か? 子供だ。それでいい。それで、おれのなかの果物好みランキングといえばナシ=いいモモ=高いマンゴー=ポポーが最高であって、ちょっとした酸っぱさがあるものはノーだ。ノーとまではいかないまでも、えーと、ちょっとノーだ。
というわけで、ナシである。船橋方面だからといってふなっしーかといえば違った。熊本のナシである。あまりイメージがわかない。が、新高梨という品種であるらしい。ともかく、デカい! これには圧倒された。ズシリと重く、ともかくデカいのである。「おお、すげえな!」と思う。
さて、急に自分の体調の話になるのだが、おれは風邪をひいた。症状は熱発。これで久々に会社を休んだ。その夜のこと。おれには珍しく食欲がなかった。インスタントラーメン、インスタント焼きそば、パスタ、どれも食べる気がしなかった。かといって、なにか腹におさめなければ、という思いもあった。おれは「食べて病気に対抗」という一種の強迫観念があって、それは精神疾患であろうと風邪であろうと変わらぬ基本姿勢である。
というわけで、そこで頭に浮かんだのが、冷蔵庫で冷やされてるでっかいナシなのであった。「ナシなら食える」。そう思った。そう思ったおれは、でっかいナシをぶった切って、皮を剥いた。すごくデカい。切りながら食って、それでもまだまだある。それをシャクシャク食った。歯ごたえがあって、甘味もあって、いいナシだ。あるのにナシだ。一時的なものかもしれないが、おれの腹はいっぱいになった。満足して、風邪薬を飲んで寝た。
風邪や熱を出したときにはリンゴ、なのかもしれない。しかし、ナシもいい。身体を冷やしてくれるような気になった。ほとんど水分だろうと言われようが、ちょっとでも酸っぱいの嫌いなおれにはナシがいいのだ。しょせん、リンゴの栄養分といってもリンゴ程度のものであろう。だったら、好きな果物を食ったほうがいいに決まっている。だから、ナシはいいのだ。アリなのだ。多謝!
そしておれはほしい物がある。たとえば、えーと、玄米のレトルトパックとかだ。以上!