2023年 菊花賞回顧 「黒い馬が勝つわ」

2023年10月22日 東京スポーツ紙より

菊花賞(G1) 結果・払戻 | 2023年10月22日 京都11R レース情報(JRA) - netkeiba.com

今年の菊花賞はひさびさに皐月賞馬とダービー馬が揃って出走。上がり馬も重賞馬もいて、多士済々、さあどうなる、というレース。

おれはといえば、今年の牡馬クラシックで一番期待していた馬がスキルヴィングだったので、さてこの菊花賞は何を買うかぜんぜんわからなかった。

わからなかったが、まあしかし、これはあれかな、サトノグランツでどうかという感じになった。サトノグランツ、ダービーではほとんど無視していた。それは京都競馬場からのダービー、サトノダイヤモンド産駒というあたりを気にしてのこと。逆にいえば、京都ならポテンシャルを発揮できるんじゃないか、ということだ。いや、サトノダイヤモンド産駒が京都得意かどうかエビデンスはない。「サトノダイヤモンドは京都得意そうじゃないか」という記事を読んだことと、この馬の実績くらいだ。イメージだ。

というわけで、今回は逃げ馬の後ろ辺りにつけて先行、エンジンの掛かりが遅い馬だけにロングスパートで抜け出し、みたいなのを期待。鞍上の川田将雅は長距離苦手とか言われる、長距離レース自体少ないし、先週のリバティアイランド見たろ。ああいうのをやればいいだけだ。一周多いだけだ。人気も三番人気で、人気薄相手なら馬連でもけっこうつく。悪くない。

と、意気揚々のおれは土曜の夜に馬券を買い込んだ。日曜日は女の人の家に行くことになっていたから。一緒に配信で『くるりのえいが』を観る約束をしていたのだ。

で、『くるりのえいが』が終わったあと、ちょうど競馬の時間。

「菊花賞ってレースなんですよ」

「へえ。久しぶりに買おうかな」

と、おれの持ってきた東スポ競馬欄を見る。締め切り三分前くらい。

「知らない馬ばっかりだね。……それじゃあサトノグランツ」

女の人は競馬をほとんど知らない。もちろん今年のクラシックホースも知らない。おれの本命も知らない。それがサトノグランツを選んだ。偶然の一致だ。これは吉兆か? サトノグランツの単勝200円買い足す。

しかし、だ。女の人が、輪乗りをしている様子を見て、「この黒い馬かっこいいね。この馬にすればよかった」と言う。

はい、ドゥレッツァでした。

そりゃ青鹿毛の馬は黒く見えるし強そうだよな。でも、今年の暑い夏場を使ってるし、大外だし……。

で、レース。なんとドゥレッツァが逃げる展開。なんだそれ、聞いてねえし。ここまで前に行ったら大外も関係ねえけど、いや、逃げたことないよな。ルメールが逃げるときって、ええと、あんまり自信がないときとか、そんな話なかったっけ? いや、違ったっけ? 引っかかってるようには見えないけど……と、頭は混乱。

一方でサトノグランツは後方。考えてたのと違う。したら、なんか川田の腕が動いている。動いているのに上がっていかない。え、なに? 距離? なんなの? あれ、なんだそれ。

と、サトノグランツばかり見ていたので、ドゥレッツァが先頭を譲ったことくらいしか見ていなかった。ああ、サトノグランツ大外回っとる。伸びるのか? 厳しいか? なんて見ていたら、いつの間にかドゥレッツァが抜け出している。何を見せられているんだ? なにが起こった?

そんでもってサトノグランツは伸びず、これまたどこにいたのかわからないタスティエーラが二着、そんでもってソールオリエンスが三着。いや、タスティエーラもローテ(ダービーからぶっつけは本来の予定ではなかったはず)、ソールオリエンスもコーナリング問題から、消しはしないが軽視しとったわ。

ああ、見る目がねえな。しかし、サトノグランツはなんだったんだ。

【菊花賞レース後コメント】ドゥレッツァ C.ルメール騎手ら | 競馬ニュース - netkeiba.com

10着 サトノグランツ(川田将雅騎手)
「動かし続けて、このポジションでした。最後まで頑張ってくれています。もう少し時間が経てば、さらに良い馬になれると思います」

 

「動かし続けて、このポジション」ということは、やっぱり最初から前に行こうとしていたんかな。今後はどんな路線を選ぶのだろうか。なにせ、世代限定レースとはいえGIIを二勝してるんだから、まあG1狙うよな。春の天皇賞か大阪杯か。海外という選択肢も増えた。でもまあ、とりあえずGIIから出直しだろうか。なんかGIIコレクターになりそうな気がしないでもない。

なんだかわからんが、ドゥレッツァはドゥラメンテ産駒らしい化け物かもしれないという以外、ちょっとよくわからんレースではあった。まあ、わかってないのは人気馬の中から一番走らないのを引いたおれの馬券勘だけれどな。