中年が無理な体勢を取ろうとするとどうなる? バランスを崩す。
おれは、部屋にぶら下がっている蛍光灯のほこりを拭き取ろうとした。システムベッドの上から、手を伸ばして。
手を伸ばしたら、思い切り落ちた。落ちるときに掴もうとでもしたのか、ついでに蛍光灯も落ちた。天井の器具からぶら下がっているひもはそのままだ。本体が落ちた。力を加えてしまったので、フック部分がねじ曲がっていた。
夜だった。暗い部屋でおれはなんとか無理やり蛍光灯を引っ掛けた。

とりあえずこうなった。
シェードは外したままだ。
おれはこわくなった。
いまだにすばらしいストライクウィッチーズのポスターを貼っていることが?
違う。
この蛍光灯がいつ落下してくるのかということだ。
偉くもないしお金もないのにダモクレスの剣だけぶらさがっているのは道理に合わぬ。
おれはすぐにiPhoneで新しい光を求めた。そのとき、LEDライトがよいのではないかという声が聞こえた。この部屋についているのは、角型引掛シーリングというらしい。角型引掛シーリングであれば、とくべつな工事などなしにLEDライトがつけられるらしい。
おれは、すぐに注文した。
Amazonの写真はリモコンの形状が違う。まあいい。買ったら届いた。すごく軽いものだった。しかもなんかペコペコしている。これが21世紀か。

おれは蛍光灯を外した。根っこも外した。今度はちゃんと椅子を持ってきてやっている。外すのは簡単だった。
が、取り付けるのが大変だった。うまく、引っかからないのだ。仕組みはわかる。角度もわかる。だが、うまくはまらない。おれの背が低いというのもある。
中年が腕を上げつづけるとどうなる? つかれる。
つかれながらも、なんとかひっかかった。ひっかかったので、回した。回したが、すんなり回らない。LEDシーリングライトはペコペコしているので、なんかメキメキみたいな音がする。
すると、回転の途中でいきなり光った。おれはびびった。

もちろん、蛍光灯を外すときにスイッチは切ってある。壁スイッチは存在しない。いきなり光っていいのかどうかおれにはわからなかった。
まあしかし、この部屋の取り付け器具で、このライトは光る。それがわかったのはよかった。このままカチッといくまで回そう。
と、今度は光が消えた。まあいい、カチッとなるまで……回した。光はついていない。
そしておれはリモコンのONを押した。……反応がない。リモコンに電池は入れたし、チャンネルの設定もした。リモコンの小さな赤いランプはちゃんと点滅したりしている。なのに反応がない。
……どうしよう? よくわからない。ただ、これが光るのは見た。
というわけで、おれはシーリングライトを逆回転させた。さっきの、光った位置まで。
パッと、光った。
おれはその状態で、またリモコンを操作してみた。スイッチを押すと、今度は消えた。もう一度押すと、ついた。明るくしたり、暗くしたり、白色にしたり、暖色にしたりするスイッチもすべて有効だった。
これで、いいのか? まあ、落ちてくることはないだろうし、軽いし割れるようなものでもないから、大惨事にもならないだろう。
おれはシェードをはめた。

これで、いいのだろうか。根っこのところの位置が、カチッとしていない。でも、これで使えるのだから、これでいい。そういうことにする。
……いや、漏電で火事とか、ねえよな?
以上。
