『ラブレター』

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD17083/
 一昨日、テレビブロスを見ていて気づいたのがこの映画の存在。テレビ東京の深夜枠での放送で、にっかつロマンポルノだ。ロマンポルノ、という甘美な響きだけでも十分だが、追い打ちを掛けるように「詩人・金子光晴」の字が解説文に。これはもう、観るしかないなじゃないですか。ということで録画したものを昨日観た。
 出ている女優さんが素敵だった。関根恵子、多分名前だけは見たことがあるように思う。裸も素敵だし、下着一枚で庭に穴を掘るシーンもいい。が、美しく発狂していくさまがとてもいい。うさぎ、という呼び名でですます調で話して、相手を「お兄ちゃん」と呼ぶあたりもいい。あと、加賀まり子が出ていた。いじわるな隣人であり、下宿屋のかまきり夫人という役柄そのものだった。それと、仲谷昇は久々に見たような気がした。
 まあ、とにかくロマンポルノだ。ポルノ。とにかくエロビデオにはストーリーが無いと言われて久しい。一方で、女優さんの質もプレイの質も種類も過剰さも行き着くところまで来てしまって、どうにも行き詰まっているような気がする。今こそ、そこに足りないものをロマンポルノに学ぶべきじゃないのか! などと思っていたのだが、あらためてロマンポルノを見てロマンポルノはロマンポルノ的に非常にいいなぁと思った次第だ。しかし、ロマンポルノもワンパンチ、ツーパンチ、ワンツーパンチ足りないのも確かだ。誰か作ってくれ、AVとロマンポルノが両立したものを(あるいは、俺の知らぬピンク映画の世界ではそういうことになっているのかもしれないが、そこらへんはどうにもよく知らない)。
 ロマンポルノ、ロマンポルノとロマンポルノの連呼になってしまったが、金子光晴を忘れちゃいけない。俺は金子光晴について、詩から入ったわけじゃない。はじめは高橋源一郎の小説に出てきて、深夜歩いていたらタバコ代をせびってくる詩人のイメージだ。その後、『詩人 金子光晴自伝』、『どくろ杯』、『ねむれ巴里』などの自伝物を読んですっかりはまってしまった。高橋さんも自伝が面白いとどこかで書いていたような気もする。まあ、そんなわけで、このロマンポルノに出てきた金子先生も、自伝から感じるようなイメージっぽくてよかったな。うん。やっぱり詩人はこうでなくっちゃね。そういえば、こないだ部屋を片づけていたら、岩波の古いランボーの詩集が出てきたんだった。それで、ちょっと読み返そうと思ったのだけど、やはり冒頭のサンサシオンだけ読んで満足してしまうんだな、これが。
 ……前にもこういう話書いたような気がすると思って検索したら、金子光晴についてほとんど同じことを書いていが、あまり気にしない。
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