そういえば歯の話

歯医者に行った話→id:goldhead:20060711#p1
 その後、もう一回、もう一回だけ行って、それで終わった。三回。三回だけだった。三回でも俺は何回にも感じた。結局、欠けた奥歯には詰め物をした。仮詰めのあとの二回目、先生は神経を抜くかどうか迷っていたらしい。なにか、電子部品のような、細かい機器、器具、そんなものがずらっとならんでいて、とても小さいのが銀色のトレイに並んでいて、それが神経を抜くためのなにかだったらしい。しかし、俺が、仮詰めで、あまりしみなかったと言ったら、ちょっと迷って、残す方向で行きましょうか、みたいな。虫歯再発の恐れはあるけれど、残す方向で行く、みたいな。再発の恐れは恐ろしいけれど、俺は俺で神経を抜くのも恐かった。恐かったので先生の提案に乗った。乗って、銀の詰め物をした。俺は、昔、乳歯のとき、すっぽりといくつもの銀歯をかぶせられた。歯が抜けるときは銀色の歯が抜けた。俺はまた、そういう形状を予感していたが、ちょっと違った。欠けた部分だけ、コーティングするような。銀箔を貼付けるような。キラキラしていて、俺は、口の中にシルバーアクセをインプラント(歯科的な意味でなく)したような、そんな気になって。そんな余裕があるのは、まったく痛くなかったからだ。他に気になるところはないかといわれ、また、見てもらった結果、逆の奥歯に小さな初期段階の虫歯、ついでに削ってもらって。俺の銀色の下の奥歯には虫歯への再発の可能性があって、もう外からはケアできない。すこし、冷たいものがしみるような気がする。すこし、温かいものがしみるような気がする。すこし、常温の水が、しみるような気がする。