チベット10

 北京五輪の聖火は採火式が24日にギリシャで行われたが、式典では北京五輪組織委員会(BOCOG)の劉淇会長の演説中、複数の人権活動家が乱入して中国政府への抗議を行った。

http://jp.reuters.com/article/sportsNews/idJPJAPAN-30974820080325

 国境なき記者団、各国報道自由度ランキング作りなどの活動でしか知らなかった。実際に当事者となりデモンストレーションを行うとは。いいぞ、もっとやれ。ついでに日本の記者クラブ制度とかいうのもどうにかしてくれ。

チベットでの騒乱については、中国政府はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の一派が、北京五輪を妨害する目的で扇動していると非難。ダライ・ラマ側はこの見解を否定し、北京五輪を支持する意向を表明している。

 ところで俺は、選手自身による良心的ボイコットにはリスペクト派、あるいは開会式ボイコットには賛成派ついては、国レベルでの決定があってもいいのではないかと思うのだけれど、勢い余って「北京五輪中止!」などというのは、多少行き過ぎの気もする。ダライ・ラマとて支持しているのである。もし、中止や大規模ボイコットとなれば、中共チベットはさらに抜き差しならぬ状況にもなりかねない。また、ポジティブな場になりうる可能性すらある。

 国際オリンピック委員会(IOC)未承認のチベット・オリンピック委員会は15日、中国チベット自治区ラサでの暴動について、IOCが中国政府に対して行動を起こしていないとして、ロゲIOC会長に抗議文を送ったと発表した。
 抗議文では(1)チベット人拘束者の解放(2)北京五輪聖火リレーのチョモランマ通過の中止(3)北京五輪へのチベット選手団派遣−を求めた。

http://sankei.jp.msn.com/sports/other/080315/oth0803152306017-n1.htm

 チベットオリンピック委員会(未承認)! これが狙いなのかもしれない(この委員会がダライラマとどう繋がっているかは知らないが)。チベットが今のところ求めているのは独立ではなく、高度な自治。それがどのような形かと言えば、台湾ではないだろうか。むろん、台湾の今の有り様はたいへんな歪みの中にあり、決してクリアではないけれど、少なくとも人民解放軍の弾圧、虐殺に毎日おびえているわけでもなく、思想・信条に対する直接的な抹殺行為に直面しているわけでもない。それどころか、日本と価値観を共有できる、自由と民主主義でやっているわけだ(そんな国を見捨てざるを得なかったところに、また、不義を続けているところに、どうしようもないながら俺は日本人として引け目を感じる)。そして、オリンピックにも「地域」として選手を送り込む。もし、チベットが独自の選手を送り込むことができたら……、それはどれだけのアピールとなり、また、立場の変化になるだろうか。……もちろん、さすがに現実としては難しい。しかし、今のところ幻のチベット・オリンピック委員会、その存在を知り、彼らが五輪、北京五輪を目指しているということは知っておきたいと思うのだ。

 中国政府によるデモ鎮圧を非難する海外のチベット独立支援者らは、北京五輪に対する抗議行動を検討しており、聖火リレーチベット通過には特に強く反対の姿勢を示している。

http://jp.reuters.com/article/sportsNews/idJPJAPAN-30974820080325

 そして、偽りの聖火のチベット通過。もしも中国がそこを通すというのならば、そこを暴力的なデモンストレーションの場とすべきだろうか。それでもいいかもしれない。しかし俺は、その場においては、もっと静かな抗議の場であってほしいと思う。鎮魂と悲痛、虚栄とは正反対の、暴力とは正反対の、天上の世界の声なき抗議……しかし、それが中国共産党に届くのかどうかというと、それも難しいか……嗚呼。
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