stirring, Dull roots with early spring rain.

夜中の2時近く眠れないおれがいてなぜ薬が効かないのかはっと気づいた暑いのだ。おれは家のない人のようにたいへんな厚着をして、たいへんな厚着の上と下をまた暖かくサンドイッチして、そのまま外で寝ても凍死しないようにしているのだがそれが暑すぎる。ネックウォーマーを脱ぎ、フリースを一枚脱いだ。下半身、内側にボアのついたスウェットとヒートテックのタイツはそのままにして、靴下を脱いだ。しばらくすると眠れたようだ。

今朝、部屋に寒さをあまり感じなかった。眠れなかったぶん身体に辛さはあるが、室温が14.8℃あった。正確なものかはしらないが、相対的に見れば普段は10℃を切っている。シャワーも寒さは苦にならない(眠さは苦になる)。

自転車での出勤、イヤーマフもネックウォーマー(外出用)も手袋もなしで行ってみた。手袋もなしで行ってみたんだ。ちょっと寒いが、それほど苦にならない。そしてふく風の雰囲気。

ああ、春だ、春の気配がする! 一雨きたら春がきた! 警戒、警戒、警戒! 心のなかのベリヤが手元の書類に赤インキで書きまくる。扉の外からジューコフがやってくる。季節が変わって春がやってくる。

春になるとおれは溶けてしまう。なんだかわからないが、なにかが始まってしまうような気になってしまう。おれはなにかが始まるのを好まない。おれの一番の根っこのところの性質、曰く言いがたいが、始まりを好まない、それがある。始まらなことを好む。動かないことを好む。変わらないことを好む。

春はその性質に動揺を与える。おれはすべて凍って動かない、凝り固まった冬が好きだ。寒さには弱くなってしばらく経つが、やはり冬がいい。春は溶かすからだめだ。流れ始めるからだめだ。おれの心によくない。春は残酷、おれに害をなす。いけない、この暖かさはよくない。おれは溶けて、放り出されて、行き場をなくしてしまう。警戒、警戒、警戒……!