はじめに断っておくが、この映画は性暴力を取り扱っている。 それに触れたくない人は引き返してください。
本作は、韓国で起きた現実の性暴力事件を元にしている。いかにもホモソーシャルな不良たちにより、その中のいじめられっ子の彼女的存在ともうひとりの少女が暴行される。もうひとりの少女は妊娠させられ、入水自殺をする。
生き残った主人公、ハン・ゴンジュは女子校へ転校する。もとの学校の先生(最初、弁護士の「先生」かと思った)の母親の家へ身を寄せる。その母親も母親で男女のトラブルを抱えている。
転校先のクラスメイトは主人公の過去を知らない。そこに齟齬が出てくる。やがて、事件によって離婚した父親の行いにより、加害者の男子たちの親が学校に乗り込んでくる。
……おれは、作品のあらすじを書いている。まるで、小学生が読書感想文に困ったときのようだ。だが、おれにはどうもうまくこの作品について感想を書けない。だから、こうなっている。許してほしい。
この作品は2014年に公開されたという。MeToo運動より前だし、同じ韓国映画界のキム・ギドクが告発される前でもあろう。しかし、どうしてもそういう文脈で読んでしまう。被害者なのに、さらにおいつめられる苦しみ。理不尽さ。
そして、ラスト。ラストをどう受け取るべきか。おれにはちょっと答えが出せない。そのために泳いでいたのだと思えば、救いはある。だが、現実に救いはあるだろうか。この映画から数年、この世界に救いはあるだろうか。おれは暗くなる。
ただ、主人公が一人音楽室でギターを奏で、歌うシーンは美しかった。事情を知らぬ新しい友達たちが彼女を芸能界へ進ませようとしたのも善意だ。ただ、それも悲しい。この世は悲しい。