映画『花束みたいな恋をした』をみた

 

おれはあまり恋愛映画というものをみない。だが、この作品はなにかしらすごいぞという空気が伝わってきていたので、「いつかみてみるか」とおもっていた。おもっていたので、みた。

……なんといったらいいのでしょうか。困ってしまう。おれのように、口にはだせない恋ばかりしてきた人間には、困ってしまう。困ってしまうのに、なんとも言い難い印象が刻みつけられて、どうしていいかわからない。

それだけ、この二人の人間がよく描かれているのだろうと思う。いろいろと出てくるサブカル的な固有名詞の数々は、それを裏打ちするものとなっている。というか、穂村弘ってそういう存在だったのね(去年くらいに穂村弘を知った四十代です)。

というか、日々の家庭生活に追われるわけでもない、気持ちばかりは若い独身中年にとっては、いろいろとわかる単語もあって、ああ、なんというか、なんという気持ちになる。

なんという気持ちなのだろうか。おれも普通の恋愛をしたかったな、という思いだろうか。今からでも、普通の恋愛をしたいと思う、しょうもない思いなのだろうか。どうにも処理しきれない。

世の中には、このように恋愛をして、別れていく人たちもたくさんいるのだろうな、とも思う。その「このように」があまりにも現実的で、迫りくるものがあって、突き刺さるところがある。

「あんまり恋愛映画とかみないな」とかいう人も、とりあえずちょっとこれはみてみてほしい。なんか、なんだろうか、当たり前のような話が実に当たり前に刻み込まれていて、なにかしら、くるところがあるかもしれない。なかったら、それはそれでごめんなさい。