蜜の流れる国

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 姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)による耐震強度偽造問題で、国や自治体から強度不足を指摘されたマンション、ホテルは7都県の計35カ所に達することが27日、分かった。

 俺のこの件に関する意見らしい意見は以前書いたとおり(id:goldhead:20051123#p3)で、今すぐに問題の建築物から住民を退居させろというもの。退居させて即刻解体しろということ。住民は体育館や公民館に避難させておけ、というもの。犯人探しも補償も後でいいだろう、というもの。横浜市がようやく退居を強制させる方針を出したらしくそれでも遅いと思うのだが。俺はこの話題に心の落ち着きを感じて、ニュース、ワイドショー、これを取り扱うものに関しては、飽きずに眺められる。誰も幸せにならないニュース。藤沢のマンションは藤沢駅徒歩五分。俺は一昨年まで藤沢の事務所に通っていたのだった。どこだろう、駅の向こう、遊行通りの方か? 爆笑問題の太田がこの件に関して吼えていた。ヒューザー小嶋進社長にメディアが集中することの無意味さについて。小嶋社長一人をモンスターにして、メディアと国民がスクラムを組んで攻撃することの弊害について。阿川佐和子と出ている番組。「スタ☆メン」か。太田はテレビでこういう姿勢を出すようになってきたのか。伊集院光がラジオでの毒とテレビでのほほえみデブを使い分けるように、太田もテレビでは子どもっぽいボケと笑いによる社会諷刺に徹してきたように見えたが。テレビブロスの連載ははっきりいってつまらない。あれや、あるいはラジオ(聞いたことがない)がそういったものを放り込んでおく場所なのかもしれない。しかし、ブロスの連載はあえてそうしているのだろうが、あまりにも色がない。あるいはそこに色や毒を添えればカート・ヴォネガットのようになれるかもしれない。太田の事務所の名前「タイタン」はカート・ヴォネガット・ジュニアの『タイタンの妖女』から取ったものだったと記憶する。おそらくいずれその気はあるのではないか。何かしらキャラクターというものは出てくる。今回は小嶋社長だ。オウム事件は戦後日本においても特筆すべき事件の一つだ。しかし、俺がそれを思い浮かべるとまず出てくるのは横山弁護士の「ヤメテ!」。このどうしようもない映像の力はときに恐ろしいものになりうる。氷山の一角だとしたらいろいろのビルがいっせいに沈むのが見られるのかもしれない。『ファイトクラブ』、そして『AKIRA』。宮台真司に言われなくたって、俺は廃墟好きっ子の終末志向、いや、終末嗜好派だ。俺は最近、廃墟に本当は何人いるのか気になって仕方ない。