なんで人間解体なんだ?

 近所の騒音といえば騒音なのだが、どうもアパート近くの一軒家からなので、騒音トラブルとまではいえない。どこかに抗議しようとも、抗議しようがない。ただし、結構な音量だ。音は上に上がってくるというが、それをさっ引いてもだ。
 何の音か。音楽だ。それもJ-POPだ。J-POPの流行曲だ。どんなFMラジオもここまであからさまではない、というナウ・オン・セールな構成だ。ここまで徹底されているとたいしたもんだ、と思う。が、オリジナリティ皆無ではない。ときおり、彼は自ら歌う。レミオロメンが好きみたいだ。ときには流れる曲に合わせて「こなぁーゆきー」。ときにはヘッドホン装着なのか、アカペラで「こなぁーゆきー」。
 こんなのが二年以上。ただ、深夜ということはなく、朝も八時過ぎくらいなので、俺的には問題ない。夜も九時くらいまでだ。俺は大きな音や騒音には弱いが、これについては距離感もあってあまりどうとも思っていなかった。
 が、どうとも思わなくてはいけなくなった一昨日の夜。同じ距離、同じ音量で音が聞こえてきたのだが、それがクラフトワークの「ロボット」だったのだ。「ウィーアザロボッ、テッテレレ」なのだ。俺は『人間解体』(ASIN:B0009OAUES)一枚押さえてるくらいで知らんが、そのあともクラフトワークだった。俺はたいへん動揺した。
 お前に何があったんだ。
 何か、生活環境が変わったのか? 今までJ-POPを押さえておきたい環境だったが、就職でもしたのか? 就職した職場がクラフトワーク押さえておかないとついて行けないところだったのか? それとも女ができたのか? その女が「わたし、クラフトワーク聴きながらじゃないとセックスできない」とか言ったのか?
 俺は「なんでクラフトワークなんだ」と独りごちた。
 俺はCMのフレーズの影響を受けやすい。