「テキサス男がグリーンピースをディスってるらしいっすよ」
「クジラもねー、そんなにすごく食べたいものでもないよね」
「そうっすね、それになんか、クジラの肉、水銀で汚染されてるとか言うじゃないっすか。食物連鎖の上にいるから」
「えー？ オキアミ食べてるんじゃないの？」
「あれ、でも、やっぱでかい口開けるから、魚も食うんじゃないっすか？」
「じゃあクジラって肉食ってこと」
「オキアミも海草じゃあないですしね」
「えー、でも、肉食ってイメージないね」
「でも、わかんないっすよ、あんだけでかいから、今あんまり見られないけど、スゲエ食うかもしんないっすよ。こう、海沿いの牧場とかあるじゃないですか。そこにザッバーン！ てこう、クジラがグワーっと、ドカーンと乗り上げてきて、家畜を襲うわけですよ、牛とか食うんですよ。ほら、リヴァイアサン。それで、牛をくわえたまま、ずりずりずりってひれ使って後退していくわけです。そしたら、それに気づいた農家のオッサンが、サイロのですね、積み上げた藁の間から捕鯨銃がらがらがらって出してきて、『このくそったれモビーディックめ！ 今日こそしとめてやる！』って、ぶっ放すわけです。ああ、だからテキサス男は捕鯨に賛成なんだ！」
「……なんか違うと思う。でも、クジラって陸から海にかえったんでしょ。じゃあ陸にいたとき何食べてたんだろ。ていうか、どんな形？」
「そういや、よくわかんないっすね。陸であんなの歩いてるのみたことないっすよ。ほ乳類っしょ。えーと、なんか、犬みたいなイラスト出てきましたよ。めそ……、メソニクス？ ウシやシカの祖先と一緒だとか。ああ、でも、DNAでカバだ、カバっぽいですもんね。でも、ラクダとかいう論もあるみたいっすよ」
「ぜんぜんイメージ湧かないね。そういえば、あの、スタートレックのカーク船長がクジラみたいなやつに助けられて、『クジラを滅ぼさなくてよかった』とか言ってたから、宇宙から来たりしてね」
「そうですよ、いまだに進化がよくわかってないってのは、やっぱり宇宙から来た知的生命体なわけですよ。それで、太古の地球に植民したわけです。そしたら、わけのわからん猿が地上を偉そうにわが物顔ですよ。それで、怒って、こう、海辺の牧場とかにザバーンって乗り上げて、牛をさらうわけですよ」
「知的生命体なのに？」
「そう、知的生命体なのに。それで、今また捕鯨とかしてると、怒ってこう、母星から来ますよ、大船団で」
「でも、宇宙船操縦できなさそうじゃない？」
「だから、こう、でっかい金魚鉢みたいな、でかいボールになってて、中に水が入ってて、その中を泳いでるわけです。それが彼らの宇宙船なんですよ。それで、こう、けしからん人間を見つけたら、宇宙船からクジラがザバーンって出てきて、放牧されてる牛をですね、ガブーッと行くわけですよ。ほら、キャトルミューティレーションはクジラの食い残しなわけ。それで、やっぱりテキサス男はクジラが許せないんですよ。マジつじつまあってるっしょ。ああいいな、俺、SF作家になりますよ、アーサー・C・クラーク上等っすよ」
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