2021年 オークス回顧 人間くさいミルコ・デムーロ

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おれは金曜日の日記にこう書いた。

2021年 オークス金曜日見解 - 関内関外日記

ユーバーレーベン

あまり当てにはならないnetkeiba上の事前オッズで三番手。たしかにソダシ相手に善戦してきた馬だ。でも、6戦1勝でG3で2着1回の馬だといえばそういうことになる。父ゴールドシップでなにをやらかすかわからんというところもあるし、亡くなった岡田総帥に捧げる勝利というストーリーもある。けれど、おれは今のところそんなに評価していない。やはりちょっと足りないのではないか。でも、ぶち抜けるイメージがないわけでもない。難しい。

なんか、過剰評価じゃないかという気持ちがあったのだ。そして、実際の単勝オッズも10倍を切る三頭のうちの一頭。うーん。

クールキャットと思ってはいた。いたが、前の夜のこんなふうに思った。

おれは武豊を日本競馬界のスーパースターだと思っているし、対世間で換えの効かない人間だと思っている(換えが効かないのはそれはそれでまずいが)。ついこないだも、骨折明けの初戦を勝ち、その日のメーンも勝った。まだまだそこらの騎手よりずっと乗れる。乗れるけれど、ここ二年くらいのG1の結果がよくない。正直、突き抜けるイメージがわかなかった。なので、「川田、福永、ルメールデムーロ」だ。

そしておれが選んだのはステラリアだった。大外枠は気になったが、忘れな草賞馬の一発があるんじゃないだろうか。ソダシについては2400mでもアエロリットのような競馬をして押し切る可能性がないわけでもないが、やはり距離不安を取って評価を下げた。

一応テレビでパドックも見た。ステラリア、悪くない。いくぞ! と、思ったが、輪乗りのときに見たら「なんか発汗してね?」と思った。毛ヅヤがよく見えたのは、汗? もう遅い。

ソダシは先入れ。ゲートが開く。ぐんぐん押して先行するステラリア。中団内側を取りに行くというより、戦法「先行」を選んだような展開。あるいは、かかっているのか? これは、あかんと思った。二角くらいであきらめた。あとはもうソダシでも見るか、と思ったら、頭を上げるシーンが一瞬映る。やはりペースが遅いのか。先団、人気馬ばかり。

レースは三角。正面からの映像。ユーバーレーベンが相当外を回っているのが見えた。「そんなに大回りしてもつのか?」。そう思った。ステラリアは沈んだ。クールキャットも消えた。伸びてきたのは……ユーバーレーベン。力強い末脚。内側からスルスルと伸びてきたアカイトリノムスメを差し切ってゴール。三着は藤懸。

あー、ユーバーレーベンにしておけばよかったか。金曜日にも書いた。「ぶち抜けるイメージがないわけでもない」だ。展開と枠も考えるべきだった。

それにしてもデムーロはよく乗った。ここぞで一発決める男だ。成績が落ち気味で、エージェントを替えてはまた下降するという、ちょっとよくない流れにあったが、まだまだ衰えてなんかいない。いきなり変なマクリをすることもあるが、こういうレースをしてくれる。

【オークスレース後コメント】ユーバーレーベン M.デムーロ騎手ら | 競馬ニュース - netkeiba.com

「感動しています。本当に嬉しいです。この馬は一時期調子が良くなかったのですが、ちょっとずつ良くなっていて、今日パドックで馬を見たらこの馬に乗りたいと思いました。スタートは出たのですが、みんなが出して行っていたので、ごちゃごちゃしないように少し後ろから行きましたが、ちょっと失敗したかもしれないと思いました。ですが向正面でスムーズになって、3、4コーナーでペースが上がった時でもすごく楽に上がって行けて、直線もじりじりと伸びてくれました。前走も直線でじりじりと伸びていましたし、距離は大丈夫、問題ないと信じていました。直線は早めに先頭に立って、物見をするかもしれないので最後まで頑張ってと思っていました。本当に素晴らしい馬です。本当に幸せです」

このコメントでは省かれているが、子供が生まれたばかりであること、友人が死んだばかりであること、そんなことを言っていた。あるいは、コメントにはなかったが、岡田総帥を見送る会で「ユーバーレーベンでオークスを勝つ」と言っていたという話もある。

そして、「一時期調子が良くなかったのですが」というのはデムーロ本人にも言えるだろう。ユーバーレーベンも疝痛で目標のレースを回避するなど、負けには理由があった。前走とて、陣営は優先出走権(二着以内。結果三着)を取らなくても出られそうだと知っていたらしい。デムーロもラウダシオンでG2を勝ったりした。ちょっとずつ良くなって、オークスを迎えたのだ。

成績低下、変なマクリとかあっても、わりとデムーロは心底嫌われていないんじゃないかと思う。ルメールの人柄を悪く言う人はいないが、べつの意味でデムーロはなんか好かれている感じだ。

おれはといえば、ユーバーレーベン二番手評価だった。ステラリア=ユーバーレーベンが本線。本当。しかし、終わってみればユーバーレーベンが勝つのにふさわしかったように思える。

オークス(G1) 結果・払戻 | 2021年5月23日 東京11R レース情報(JRA) - netkeiba.com

ユーバーレーベンの単勝、アカイトリノムスメとの馬連ならそこそこ負けなかったかもしれない。ハギノピリナはどうだったか。なんかステラリアからぶん流したなかには入っていたと思う。

まあ、負けたけどすがすがしい。おめでとうユーバーレーベン、そしてミルコ・デムーロ

 

……で、各場最終を負けたあと、さらに延長戦だと地方を買っていたら、水沢と高知で三連単を三レース立て続けに当てた。配当はせいぜい四千円といったところだが、買い目も最低限というところで、それなりに補填できた。地方の少頭数、前走結果に素直に買ったら勝った。地方には地方なりのわけのわからないところはあるが、ちょっとこれは儲けどころじゃないか、などと思ったりした。←来週痛い目にあうパターン。