狂人日記

goldhead2007-11-16

http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20071109#p4
 こないだ、騒音トラブルがあって、大家さんに連絡した件あるじゃん……、あれの続きというか……。
 俺、今日、午前中に関東電気保安協会の検査と、こないだニトリで買った家具の受け取りがあったから、午後から出社することにしてたのよ。電気は早く来て、だいたい午前中指定の佐川は昼頃だろうって、そうだったんだけど、その佐川を待つ間よ。ポケーとPSPやってたときのことよ。「おにいちゃんいる? おとうさんだよ」って通路から話す声が聞こえてきたのよ。「連絡無いから、電話止められてるかと思って」って大きな声。
 って、普通の父子の会話なら声が大きいだけ(たぶん入口、ドア開けっ放しでの会話)でたいして気にしないんだけど、その後飛び交った、というか「おにいちゃん」の方から出てきた単語が……、聞かずにはおれないもんだった。人の口から出たら、ちょっとドキっとせざるをえない○○○○(某団体名)だったり、××(某国首都)だったり、△△△△(某大国首都)だったりして、××の指示を受けて○○○○は反射板のように動く、しかし、操っているのは△△△△だ、とか、○○○○とケーサツの嫌がらせを四六時中受け続けてどうこうとか、人殺ししていないのに、殺人者の濡れ衣を着せられているとか、某拉致問題は……!とか、なんとか。
 そんな世間驚愕の重大事に、おとうさんの方の反応は、「いつまでもそういう世界に住んでいても、無駄に年を取るだけだよ」、「みてもらえば、よくなるから」とか、諭すような口調。慣れっこの対応、そういうもの。それで、その会話が終わった直後、おとうさんが帰った直後か、いきなりグワガラガッシャーン! ガギンガギン! ガシャンガシャン! と、まず物干し竿をどうかする音に、その後、食器が割れる音。ドタンドタンと足音。これにはびびった。
 と、ここで女性の声。「なにをするの!? うちに対してやってるの!?」みたいな、怖がりながらも怒りつつ、みたいな声。それに対して男、「○○○○の嫌がらせです! ぼくに言わないでください!」みたいに言い返す。
 ……と、ここまでのこと、俺、怖くて窓の外も見られなんで、「すごく大きな音で、下でやってるのかもしれない」って思っていたのよ。いや、そう思いたかったのよ。○○○○についての伏線つーか、そういうトラブルみたいなものが下の階の前に転がってたりしてたもんでさ(これも日記に記しておくべきだった)、そういう風に思いたかったんだな。
 でさ、そのあと十分ぐらいしたら、男が「弁償します、一万円払います」ってなんか話しかけてるのが聞こえて、女性が「もう警察に通報しましたから」って言ってるのが聞こえてさ。本当にお巡りさん? って思ってたら、さらに十五分くらいしたら、お巡りさん来たね、隣の部屋に。
 それで、お巡りさんとその男の……って、あんまり書くとマズイかもしれないが。お巡りさんは、男の挙動とか言動とかから、ある物が部屋にあるんじゃないかって探そうとしてるんじゃないかって……、そんな声を聞きました。さすがにこれはカベに耳を付けて聞いたんだけど、何せ自分にとってもただごとじゃない、許してくれ。でも、男の方はケーサツに四六時中監視されているとか、○○○○の陰謀だとか、そんな話していて、ときおりお巡りさんの「被害届出されていたら、逮捕されるところなんだよ!」とか、「ふざけるんじゃないよ!」とか、叱る声が聞こえてきてさぁ。最初の「おとうさん」との会話もそうだったけど、本当に被害妄想のことしか言わない。妄想かどうかわからんが……。
 俺、こんとき内心なに願ってたと思う? 男が暴れてお巡りさんに襲いかからないものか。それで、返り討ちにあって逮捕され、しかるべき措置がとられないものかってさ。お巡りさんには悪いけど。
 でもさ、なんか上申書(「うえにもうすって書くんだよ」てお巡りさん言ってた)をなんとか書かせ(お巡りさん粘り強かった)、それで終わってしまったのね。それで、男が出かけるとかで、二人してドア開けて外出たみたいでさ、それでお巡りさんが「ほら、戸締まりちゃんとして!」とか言った、そのときよ、そのとき、狹いアパートの通路に現れたのが、俺がニトリで買ったカラーボックスと座椅子を担いだ筋骨隆々の佐川さん! ピンポーン、「はーい」、俺の在宅バレバレ! つーか、そんなところに出くわした佐川さんも困ったろう! 荷物重かったろう!
 ……静かになったアパートで、俺はびりびりと新しい座椅子の包みを破って新しい座椅子に座って、タバコを長いこと吸ってないことに気づいて、出社したらとりあえず大家さんに電話してみようと思った。「今さら注意とかそういう次元ではなさそうだけれども、この入居者についてどの程度把握しているんですか?」と。でも、担当者が不在で、午後七時まで待っても折り返しの電話が無いのかもしれない。そして俺は、ありもしなかった、たまに遅刻する日の午前についての妄想を、まったくのフィクションを書こうと思った。重い足取りでアパートに帰る前に、遺書を書き残すつもりで、ありもしない空想を書こうと思った。 まさかとは思いますが、この「俺」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。よかった、変な隣人はいなかったんだ……。