零細企業のわりに在宅勤務する人などいて、人がいなくなってしまうと、本当にもぬけの殻になってしまう我が社。いつもは午後一番の予約を入れている医者も、今月は午前だ。前夜の「早く寝なくてはならない、必ず朝起きねばならない、ベッドの中で固まってしまってはいけない」というプレッシャーはすごかった。すごかったので寝られなかった。いくら安全なアモバンといえども、最大量の二倍というのもまずい。とはいえ、酒を飲んでは起きられないかもしれない。
それでも、おれはなんとか起きて、這いずって会社に出て、午前のうちに医者に行った。医者に行って、入り口の検温端末で36.0度の体温を測り、診察をしばし待った。「精神科というものは、朝が弱い人間ばかりだろうから、午前は空いているのではないか」というのは、おれのなかの偏見に過ぎなかったべっけなー。
しばし待って、おれの順番。とりあえずかかりつけ医の精神科医には伝えておくかと、父の心筋梗塞、救急車、ICU、人工透析の話をする。
「あと、電気ショックした影響で、記憶がはっきりしているところと、ぜんぜん覚えていない、まだらボケみたいな症状になって」
「いやあ、心臓への電気ショックじゃそうはならないよ」
「あ、そうですか。向こうの医者はそう言ってたらしいんですけど。あとは、意識を落とすための鎮静剤を……」
「たぶん、そっちじゃないかな」
などなど。
「コロナの影響が、ここになってなんかどんどん辛くなってきて、不安感が増して」
「お父さんのことも、コロナも積み重なりますよ。知り合いでコロナになった人とかいますか? 自分は医療関係だから、何人かいますよ」
とのこと。
でもって、おれは「レキソタンって最大量出てたんですっけ?」と訊くと、まだ増やせるというので、「お願いします」、「まずは半分に割って、全量使わないでね」と。
……すみません、たぶん全量使います。そんで酒も飲みます。
寒い日だった。薬局でもけっこう待った。
「こちら、朝、夕に増えておりますが……」
「ええ、調子が悪いので……」
帰り道、牛丼屋の店の外で弁当の呼び込みをしている店員。たまには牛丼屋の弁当もいいかと思ったが、それ以上の憂鬱がおれをとらえて、結局いつもの100円ローソンでおにぎり二つとサラダという名のキャベツの千切りを買った。
と、帰ってみると、おれあてにAmazon。お恵みである。
アマノフーズのお味噌汁と海藻スープセット来たこれ。いや、「来た」とは失礼、いただきました。
アマノフーズはすごい、というのは多くの人が知るところであろう。カツ丼のフリーズドライとかやってるところでしょう? と。が、やはり真骨頂は味噌汁にある。いや、カツ丼のフリーズドライ食ったことないけど。まあともかく、味噌汁のフリーズドライとしても別格だぜ、といいたいのである。
これでおれの昼食事情はさらに向上した。なにせ、ちょっと前にいただいたクノールのスープもあるからだ。
おにぎり、おにぎり、キャベツの千切り、スープもしくは味噌汁。これは強い。これで十分だ。スープといっても、おれが自分で買ったオニオンスープ、中華スープ100食セットなどとは違う。
いや、こいつもオニオンスープは悪くないのだが、中華スープはちょっと……。これだったら、永谷園のわかめスープをすすめたい。永谷園から上のやつに切り替えて、「さすが永谷園」と思ったものだ。
わかめスープだけで100袋? などと思うだろうが、100日なんてあっという間にすぎてしまうのが人生だ。おまえらは人生を浪費している。いや、おれがか。
とまれ(高村薫がよく使うが、いまいち使い所が体得できていない)、永谷園の業務用よりさらにアマノフーズやクノールが上位に存在しているのは間違いない。室内も寒い、むしろ室内ほど寒い(なにせ日当たりの悪い安普請でして)この季節、味噌汁とスープ楽しみに生きていきたいと存じますところでございます。乾杯!(←火傷する)