読書

フェルナンド・ペソア短編集『アナーキストの銀行家』を読む

アナーキストの銀行家;フェルナンド・ペソア短編集 作者:フェルナンド・ペソア 発売日: 2019/06/18 メディア: 単行本 なにか新しいペソアの短編集が出ていたので読んだ。おれはポルトガルに縁はないが、フェルナンド・ペソアは好きである。 goldhead.hatenab…

ホッパーの話してえんだな『エドワード・ホッパー 静寂と距離』を読む

エドワード・ホッパー ―静寂と距離― 作者:青木保 発売日: 2019/11/22 メディア: 単行本 このあいだ、エドワード・ホッパーの解説書をプレゼントいただいた。 goldhead.hatenablog.com ああ、ホッパーいいよな。狂おしいほどホッパーいいよ、ビューだよ、とな…

『宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論』と『マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ<この宇宙>にいるのか』を読む

宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論 (講談社現代新書) 作者:青木薫 発売日: 2013/08/23 メディア: Kindle版 マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか (星海社新書) 作者:野村 泰紀 発売日: 2017/07/27 メディア: 新書 おれ…

日本国憲法前文(黄金頭案)

たぶん、高橋源一郎の本で紹介されていたのだと思う。 goldhead.hatenablog.com 「国民のコトバ」のなかで、いろいろな国民が書いた「憲法前文」の文章が紹介されていた。そういったものを集めた本が紹介されていた。それはなかなかに面白い試みのように思え…

山本弘『まだ見ぬ冬の悲しみも』を読む

まだ見ぬ冬の悲しみも (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション) 作者:山本 弘 メディア: 単行本 これはいい本だ。なんてったってタイトルがいい。「まだ見ぬ冬の悲しみも」。ただ、おれはこのタイトルを知ってから、知らない間に「まだ見ぬ冬の悲しみを」をだと…

「歴史を変えてくれと誰が頼んだ?」 山本弘『去年はいい年になるだろう』を読む

去年はいい年になるだろう(上) (PHP文芸文庫) 作者:山本 弘 発売日: 2012/09/18 メディア: 文庫 去年はいい年になるだろう(下) (PHP文芸文庫) 作者:山本 弘 発売日: 2012/09/18 メディア: 文庫 この作品は……。作者自身の紹介、いや「宣伝」を読んだほうが早…

ある日突然、「地球を移動させる話を読みたいな」と思ったら、『地球移動作戦』を読めばいいと思う

地球移動作戦(上) (ハヤカワ文庫JA) 作者:山本 弘 発売日: 2017/10/31 メディア: Kindle版 地球移動作戦(下) (ハヤカワ文庫JA) 作者:山本 弘 発売日: 2017/10/31 メディア: Kindle版 書棚に『地球移動作戦』というタイトルの本があって、表紙を見てみる…

百合映画300本総まくり ふぢのやまい編著『「百合映画」完全ガイド』を読む

百合映画とおれ、おれと百合映画。 その記憶は古い。 自分の部屋に小さな14型のブラウン管テレビが与えられたころのこと。おれは深夜に「なにかエロい番組はやっていないかな?」チャンネルをまわしていた。中学生のおれはエロいことしか頭になかったといっ…

山本弘『プラスチックの恋人』を読む

プラスチックの恋人 (早川書房) 作者:山本 弘 発売日: 2017/12/28 メディア: Kindle版 仮想現実“Virtual Reality”と人工意識“Artificial Consciousness”が実現したセックス用アンドロイド―オルタマシン。その中でも少年や少女の姿形をした未成年型オルタマシ…

おれも人の金で海外旅行してえなぁ ―村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?』を読む

ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集 (文春文庫 む 5-15) 作者:村上 春樹 発売日: 2018/04/10 メディア: 文庫 村上春樹の紀行文集である。熊本を除いては海外である。かつて住んでいたボストン、イタリア、ギリシアの話もある。タイトルの「ラ…

ハードでソフトな『プロジェクトぴあの』(山本弘)を読む

プロジェクトぴあの(上) (ハヤカワ文庫JA) 作者:山本 弘 発売日: 2020/03/18 メディア: Kindle版 プロジェクトぴあの(下) (ハヤカワ文庫JA) 作者:山本 弘 発売日: 2020/03/18 メディア: Kindle版 おれはいくらかSFを読んできたといっていいが、入り口は…

『小説の読み方、書き方、訳し方』(柴田元幸・高橋源一郎)を読む

小説の読み方、書き方、訳し方 (河出文庫) 作者:柴田元幸,高橋源一郎 発売日: 2016/11/14 メディア: Kindle版 新型コロナウイルスの流行とともにおれの読書量は減った。減ったどころじゃなく八割減とかそういうレベルだ。居酒屋か旅館か、というレベルだ。な…

本を読めないからおれの知性は下がる一方だ

新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策のため、横浜市立図書館は5月31日(日曜日)まで臨時休館を延長します。予約サービスも休止します。【4月29日更新】 横浜市 新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策のため、横浜市立図書館は5月31日(日曜日)まで臨…

大崎善生編『傑作将棋アンソロジー 棋士という人生』を読む

棋士という人生: 傑作将棋アンソロジー (新潮文庫) 発売日: 2016/09/28 メディア: 文庫 将棋と並べてはいけないのかもしれないが、私も若い頃、ばくち一途で生きる気で、鉄火場をうろついていた時期がある。勝負だけで生きることの、めくるめくような陶酔、…

世界はあんたらが考える以上に単純に残酷なんよ-『雑の思想』を読む

「雑」の思想: 世界の複雑さを愛するために 作者:高橋 源一郎,辻 信一 出版社/メーカー: 大月書店 発売日: 2019/01/22 メディア: Kindle版 「雑」の思想 : 世界の複雑さを愛するために 作者:高橋 源一郎,辻 信一 出版社/メーカー: 大月書店 発売日: 2018/11/…

あのころの江ノ島よ……東京するめクラブ『地球のはぐれ方』を読む

東京するめクラブ 地球のはぐれ方 (文春文庫) 作者:村上 春樹,都築 響一,吉本 由美 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2008/05/09 メディア: 文庫 村上春樹、都築響一、吉本由美の三人組が「東京するめクラブ」らしい。おれはよく知らない。おれはこのとこ…

『言葉なんかおぼえるんじゃなかった』田村隆一(語り)・長薗安浩(文)……再読

言葉なんかおぼえるんじゃなかった: 詩人からの伝言 (ちくま文庫) 作者:長薗 安浩,田村 隆一 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2014/11/10 メディア: 文庫 おれは言葉についてあるていどの意識を持っていると言ったら変だろうか? ともかく、言葉、たった…

高橋源一郎『国民のコトバ』を読む

国民のコトバ 作者:高橋 源一郎 出版社/メーカー: 毎日新聞社 発売日: 2013/03/19 メディア: 単行本 ……ここだけの話だけれど、十八歳の時、留置所に三週間拘留されていた時、活字を読むことを禁止されていたので、発狂しそうになったくらいである。だから、…

ショージ君もそんな歳か……東海林さだお『ガン入院オロオロ日記』を読む

ガン入院オロオロ日記 (文春文庫) 作者:東海林 さだお 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2019/10/09 メディア: 文庫 おれが書くおれの文章に一番影響を与えたのはだれか? 答えは、東海林さだおである。おれはいろいろな文才のある人のすばらしい文章から…

おれは知らない間に双極症になっていたようだ

おれは知らない間に双極症になっていた。症状の話ではない。名称の話だ。 双極性障害[第2版] (ちくま新書) 作者:加藤 忠史 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/06/06 メディア: 新書 おれはおれの持病、おれの障害であるところの双極性障害(躁うつ病)…

独り身のゴミカス依存症は相手にもされない 『ギャンブル依存症サバイバル』を読む

ギャンブル依存症サバイバル ―パチンコ・スロット・競馬・競輪におぼれる人を救済するため、患者・家族・医療者に贈る指南書 作者: 熊木徹夫,ギャンブル依存症研究所 出版社/メーカー: 中外医学社 発売日: 2015/08/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この…

精神科医のざっくばらんなお薬話『精神科薬物治療を語ろう 精神科医からみた官能的評価』

精神科薬物治療を語ろう 精神科医からみた官能的評価 作者: 神田橋條治,兼本浩祐,熊木徹夫 出版社/メーカー: 日本評論社 発売日: 2007/10/18 メディア: 単行本 クリック: 23回 この商品を含むブログ (12件) を見る 精神科医というのは、抑うつ状態になったこ…

幸福の50%は遺伝によって決定されている―『幸せがずっと続く12の行動習慣』を読む

幸せがずっと続く12の行動習慣 作者: ソニア・リュボミアスキー,渡辺誠,金井真弓 出版社/メーカー: 日本実業出版社 発売日: 2012/02/16 メディア: 単行本 購入: 6人 クリック: 36回 この商品を含むブログを見る おれが自己啓発本、幸せ探し本を読むのは珍し…

なぜなんだぜ? 吉田伸夫『科学はなぜわかりにくいのか?』を読む

科学はなぜわかりにくいのか - 現代科学の方法論を理解する (知の扉) 作者: 吉田伸夫 出版社/メーカー: 技術評論社 発売日: 2018/04/14 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 「科学はなぜわかりにくいのか?」という以前に、おれと…

『反出生主義を考える』(「現代思想2019年11月号」)を読む

おれは反出生主義者である。 おれが反出生主義者になったのは、エミール・シオランを読んだからではない。ましてやデイヴィッド・べネターを読んだからでもない。 おれの反出生主義は、おれというおれ以外にいないおれが生きてきてたなかで、自然とそうなっ…

フオオオオオオオ! 『死してなお踊れ 一遍上人伝』を読む

死してなお踊れ: 一遍上人伝 作者: 栗原康 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/01/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (6件) を見る あと、これはさいきんの調査でわかったことなのだが、もともと『一遍聖絵』では、一遍は素っ裸だったらし…

『狂い咲け、フリーダム アナキズム・アンソロジー』を読む

狂い咲け、フリ-ダム (ちくま文庫) 作者: 栗原康 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/08/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る はじめに はじめにファックありき。わたしは正論がキライだ。ファックである。あっ、正論っていっても、雑誌の名…

文明の恐怖に直面してなけど『文明の恐怖に直面したら読む本』を読んだ

文明の恐怖に直面したら読む本 (ele-king books) 作者: 栗原康,白石嘉治 出版社/メーカー: Pヴァイン 発売日: 2018/08/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 文明の恐怖に直面している自覚はないが、『文明の恐怖に直面したら読む本』を読んだ。…

鈴木大介『ギャングース・ファイル 家のない少年たち』を読む

ギャングース・ファイル 家のない少年たち (講談社文庫) 作者: 鈴木大介 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/05/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る おれが生きてきたなかで、一番怖かった不良体験を書く。それは、おれが東海道線の下…

外山恒一『良いテロリストのための教科書』を読む

良いテロリストのための教科書 作者: 外山恒一 出版社/メーカー: 青林堂 発売日: 2017/09/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る 本書を手にとる人のほとんどは、2007年(平成19)年の東京都知事選への立候補によって私の…