読書

シャーウッド・アンダーソン『ワインズバーグ、オハイオ』を読む

ワインズバーグ、オハイオ(新潮文庫) 作者:シャーウッド・アンダーソン 新潮社 Amazon シャーウッド・アンダーソンの『ワインズバーグ、オハイオ』を読んだ。 シャーウッド・アンダーソン - Wikipedia シャーウッド・アンダーソンは1876年にオハイオで生ま…

けっきょく、世の中みんな完全自動運転になっちまうのか?

寄稿いたしました。 blog.tinect.jp けっこう気合をいれて読んで、書いたので、よかったら読んでください。「弱いロボット」の持つ意味について、ちょっとでも触れることができていればいいな。 で、。ロボットといっても、自分がこの話から興味を持ったのは…

クヌート・ハムスン『ヴィクトリア』を読む、あるいはGPT翻訳チャレンジその後

ヴィクトリア (岩波文庫) 作者:クヌート・ハムスン 岩波書店 Amazon 「愛に似たものは世界にふたつと存在しない」──城の令嬢と粉屋の息子、幼なじみのふたりをしだいに隔てる階層の壁。世紀末ノルウェーの森で、秘められた思いと幻想が静かに燃える。大自然…

「自立は、依存先を増やすこと」についてのメモ

「助けて」が言えない---SOSを出さない人に支援者は何ができるか 日本評論社 Amazon 『「助けて」が言えない SOSを出さない人に支援者は何ができるか』という本を読んだ。「まだ依存症関連の本読んでるのか」と言われると、まあ、おれはハイパーリンク(最近…

長文翻訳には素直にGPT-4 Turboに金出したほうがいいというだけの結論

承前。 goldhead.hatenablog.com 読みたい小説がある。とても古い小説で、日本語訳が手に入らない。元はノルウェー語だが、とりあえずプロジェクト・グーテンベルクの英語版は見つけた。おれは英語が読めない。翻訳エンジンを使うしかない。比べてみたらAIに…

ChatGPT頼みのプログラムど素人が一日半でPython経由でOpenAI API使えるようになった

承前。 goldhead.hatenablog.com おれは761,000文字ある英文の小説を、AIに翻訳させたいと思った。思って、やり方をChatGPT3.5に聞いて、Pythonがいいという。はて、Python、なんだかわからんが、そのインストールから始めたのが昨日の朝。 とにかく、テキス…

初めてPythonというのに挑戦してとりあえずエラーで挫折している

まずPythonというものの環境をセットアップ。OpenAIのAPIキーの取得。そして、言われた通りにコードを流し込んでみる。おれは今どきの高校生が習うくらいのプログラミングの基礎も知らない。それでもおれはハムスンの『土地の恵み』をAIにハードボイルド風に…

英語のできんやつが、生成AIで英語の小説を読めるのか?

今週のお題「最近読んでるもの」 おれはこの間、クヌート・ハムスンの『飢え』を読んだ。たいへんに面白かった。 ノーベル文学賞は強い クヌート・ハムスン『飢え』を読め! - 関内関外日記 面白かったので、ノーベル文学賞受賞作である『土の恵み』を読みた…

ノーベル文学賞は強い クヌート・ハムスン『飢え』を読め!

僕は自分をこの昏睡に陥りかけた世界のただ中で、病いにとりつかれている死にかけた一匹の虫のように感じた。僕は非常な恐怖を抱いてベンチを立ち上がり、荒々しい足取りで二、三歩歩きかけた、いや、いけない! 僕は思わず叫んで両手を握りしめた。こんなこ…

無人島に持っていきたい本ベスト5(2023年版)

寄稿いたしました。 図書館と本についてです。 blog.tinect.jp なぜおれは図書館で本を借りることを恥ずかしく感じるか。そんな話。 いや、できることなら、おれは読む本すべて所有したい。おれの本にしたい。でも、そんな金がない。しょうもない人生。 で、…

メンデレーエフ、ベリヤ、アゼフ……ロシア人たちについて少し

またまた寄稿いたしました。 blog.tinect.jp プーチンのロシアにおいて、どうも見かけなくなってしまった大酒飲みのロシア人についての話。ロシアのアネクドートとかもいくつか入ってておもしろいと思うんで、ぜひ読んでください。 で、大酒飲みのロシア人を…

もしマネジメントに縁のない底辺労働者が『ドラッカー最後の言葉』を読んだら

ドラッカーを初めて読む ドラッカー最後の言葉 (講談社BIZ) 作者:ピーター.F・ドラッカー 講談社 Amazon 図書館の棚を見ていてこの本が目に入った。薄い本だ。「そうよな、ドラッカーよな」と思い、手に取った。少し読んでみたら、晩年のインタビューらしい…

『頭のいい人が話す前に考えていること』を読む。ってか、おれって頭のいい側の人間じゃん?

goldhead.hatenablog.com 先日の続きで、こちらの本から考えたこと書くけどさー。 頭のいい人が話す前に考えていること 作者:安達 裕哉 ダイヤモンド社 Amazon まず、基本的におれって頭がいいじゃん。あ、そう見えない? でもさー、どちらかっていうと、お…

黄金頭さんはビジネスパーソンを励まします

Books&Appsの安達裕哉さんより献本いただきました。 頭のいい人が話す前に考えていること 作者:安達 裕哉 ダイヤモンド社 Amazon 『頭のいい人が話す前に考えていること』、これである。 と、この本の感想を書く前に、なぜ献本に至ったか、という説明が必要…

天皇の話を追っていたら、藤原四兄弟の小説読んでたぜ

寄稿いたしました。 blog.tinect.jp ……わりと「自分が面白いと思ったこと」について書いております。この記事が面白いかはしりません。でも、おれが紹介したもんはおもしれーんだ。 しらねーけど、この話は面白いんだよ。読んだ? 読んだよね? というわけで…

『論語』って一億三千万人のためにあるのかなあ?

このごろ孟子が気になっている。気になっているので本を借りたりした。同じ棚に、こんな本を見つけたので、とりあえず手にとってみた。 一億三千万人のための『論語』教室 (河出新書) 作者:高橋源一郎 河出書房新社 Amazon 高橋源一郎の『一億三千万人のため…

おれはなんのために本を読むのか? おもしろいからだ

またまた寄稿いたしました。 blog.tinect.jp 独学? おまえのはただの読書だろ? という話になるが、自分としては一人で学んでいるのだという気分もいくらかあるのでご容赦いただきたい。 上の記事で取り上げたのは小室直樹の『天皇の原理』である。一人で読…

2022年に読んだ本からおすすめしたいもの挙げたいのこと

今年はあまり本を読めなかった。五冊くらいしか読んでいないかもしれない。それでも、おもしろいと思った本、人にすすめたくなる本というものもある。もうろくに読まれなくなってしまったおれだけれども、さらに読まれない年末にまとめて再度おすすめしたい…

佐々木閑『科学するブッダ 犀の角たち』を読む

科学するブッダ 犀の角たち (角川ソフィア文庫) 作者:佐々木 閑 KADOKAWA Amazon なにやら、具と麺が乖離していてべつべつのものを食べたような、そんな本であった。前半は「物理学」、「進化論」、「数学」についての歴史が記されている。それは西洋のもの…

インターネットはネコチャンすぎるだろ

またまた寄稿いたしました。 ぜひともお読みください。 blog.tinect.jp ……お読みいただけましたか? ………読んでくれたよね? にゃ。 というわけで、おれはトキソプラズマの話が面白いと思ったのですが、それは記事の方を読んでください。 ここでは、ちょっと…

マンボウやしろ『あの頃な』を読む……あの頃を思い出すために

あの頃な 作者:マンボウやしろ 角川春樹事務所 Amazon ……新しい生活様式とかニューワールドオーダーとかネクストフェーズとか、なんかいろいろな言葉や概念がどんどん押し寄せてきては、僕らを追い抜いていくような感覚がありますけど、そういう類のことでは…

高橋ユキ『つけびの村 噂が5人を殺したのか』(書籍版)を読んだ

つけびの村 作者:高橋ユキ 晶文社 Amazon 少し前にネットで話題になっていた話かな? と思った。その通りで、著者がいろいろの出版社に持ち込んだが売れず、noteで販売してみたが、それでも反応は少なく……と、思っていたら、いきなり売れたという話であった…

石原莞爾の妻との恋文

この間、中島岳志の『超国家主義』を読んだ。 超国家主義 (単行本) 作者:中島 岳志 筑摩書房 Amazon 同著者の『朝日平吾の鬱屈』、『親鸞と日本主義』をはじめとして、いくらかいろいろな当時についての本を読んでいたので、いわばダイジェスト的な本である…

深町秋生『鬼哭の銃弾』を読む

「鬼哭の銃弾」をAIに描かせたら微妙にリアルな何かが出てきた 映画『ヘルドッグス』見ようかなと思い、そういえばさいきん深町秋生作品読んでないなとか思って、そんでも映画見るならべつの作品いくかということにして、『鬼哭の銃弾』を読んだ。 鬼哭の銃…

『未来のプルードン 資本主義もマルクス主義も超えて』(的場昭弘)を読む

未来のプルードン——資本主義もマルクス主義も超えて 作者:的場 昭弘 亜紀書房 Amazon プルードン、クロポトキン、バクーニンあたりとなると、おれにとってのアナーキズムとの出会いであって、なにかの根底のようなところがある。とはいえ、おれは優雅で感傷…

『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』を読む

最澄と徳一 仏教史上最大の対決 (岩波新書 新赤版 1899) 作者:師 茂樹 岩波書店 Amazon 最澄と徳一、仏教史上最大の対決、である。仏教史上最大の対決かどうかは知らない。法然vs明恵というマッチアップの本もあったはずだ。 法然対明恵 鎌倉仏教の宗教対決 …

おれは100年生きられないだろうが

またまた寄稿いたしました。 blog.tinect.jp 世界不死計画 作者:フレデリック・ベグベデ 河出書房新社 Amazon この本を読んでからの着想というか、思いつきというか、「不老不死」について考えた。この本、ノンフィクションとフィクションが入り交ざって、最…

ヴォネガットが生きていたら、プーチンの戦争になんと言っただろう?

寄稿いたしました。 blog.tinect.jp ヴォネガットの卒業式講演を主に集めた本を読んだわけです。 これで駄目なら 作者:カート・ヴォネガット 飛鳥新社 Amazon こんな本あったんやな、という感じで、しかも翻訳者は円城塔か、いや、SF作家だからいいのか、と…

ケン・リュウ短篇傑作集2『もののあはれ』を読む

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2) 作者:ケン リュウ 早川書房 Amazon 図書館でレイ・ブラッドベリの本をジュニアコーナーで探していたら、この本が目に入った。あ、ケン・リュウじゃん。こっちにしよう。そう思って借りた。 ……あれ、読んだことあるん…

栗原康『アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ』を読む

アナキズム――一丸となってバラバラに生きろ (岩波新書) 作者:栗原 康 岩波書店 Amazon 角川武蔵野ミュージアムで見かけて、「あれ、おれ、栗原康の本はほとんど読んだつもりだったけど、岩波新書のこれ読んでねえな」と思った。思ったので、読んだ。 いつも…