読書

『超越と実存「無常」をめぐる仏教史』を読む

超越と実存 「無常」をめぐる仏教史 作者: 南直哉 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/01/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 「超越と実存」と言われると、なにやら近現代西洋哲学(よくわからない)のような雰囲気があるが、実のと…

シオラン『深淵の鍵』をざっと読む

E.M.シオラン選集〈5〉深淵の鍵 (1977年) 作者: E.M.シオラン 出版社/メーカー: 国文社 発売日: 1977/08 メディア: ? この商品を含むブログを見る 国文社のシオラン選集の最終巻である。このシリーズが出た時点でのシオランネタも尽きた、という感じの一冊で…

シオラン『時間への失墜』を読む

時間への失墜 (E.M.シオラン選集) 作者: E.M.シオラン,金井裕 出版社/メーカー: 国文社 発売日: 2004/07 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る 「おまえ、立て続けにシオランばっかり読んでるけど、飽きてこないか?…

シオラン『悪しき造物主』を読む

悪しき造物主〈新装版〉 (叢書・ウニベルシタス) 作者: E.M.シオラン,金井裕 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 2017/10/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「こいつ、野球と競馬とシオランの話しかしてねえな」と思われるのであれば、…

シオランの若書き『欺瞞の書』を読む

欺瞞の書 (叢書・ウニベルシタス) 作者: シオラン,金井裕 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 1995/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ……最後の暗礁は、著者その人がこの著作を忘れており、そればかりか、そこにはもう自分の姿は認めら…

こんなに面白い本があるか!(今のおれに)『シオラン対談集』を読む

シオラン対談集 (叢書・ウニベルシタス) 作者: シオラン,Cioran,金井裕 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 1998/07 メディア: 単行本 クリック: 5回 この商品を含むブログ (9件) を見る 今、シオランにハマっているおれにとって、これは非常に、とて…

E.M.シオラン『歴史とユートピア』を読む

地上楽園の信奉者たちと私との不和の、その深い理由を指摘せねばならぬとしたら、私は次のように明言しよう。すなわち、人間の抱く一切の企図が、遅かれ早かれ人間自身に刃を向けることになる以上は、理想的な社会形態を追求してもむだなことだ、と。人間の…

E・M・シオラン『崩壊概論』を読む

E.M.シオラン選集〈1〉崩壊概論 (1975年) 出版社/メーカー: 国文社 発売日: 1975 メディア: ? この商品を含むブログを見る シオラン、フランス語による初めての著書である。四回書き直したとか言っていた。1947年のことである。 本書はのちのシオランの著書…

断章は倦怠感にちょうどいい―シオラン『苦渋の三段論法』を読む

ここ何日か……と書いて、「こんなに長く感じるのに、たった何日か!」と思うのだけれど、まあともかくひどい倦怠感、鉛様麻痺、抑うつに襲われている。「襲われる」というほど派手なものではないが、ともかく身体が動かない、身体が重い。重力の偏りを感じる…

シオラン『告白と呪詛』を読む

告白と呪詛 作者: シオラン,Cioran,出口裕弘 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2012/05/28 メディア: 単行本 クリック: 7回 この商品を含むブログ (2件) を見る もう一つ、原著者の名前について。シオランの洗礼名はエミールであるらしいが、彼は早く…

フェルナンド・ペソア『不安の書』を読む

不安の書 作者: フェルナンドペソア,Fernando Pessoa,高橋都彦 出版社/メーカー: 新思索社 発売日: 2007/01 メディア: 単行本 クリック: 21回 この商品を含むブログ (19件) を見る フェルナンド・ペソア『不安の書」である。そう書いてみて、ちょっと説明不…

反出生主義、この世に生まれ出るという不運―シオラン『生誕の災厄』を読む

ただひとつの、本物の不運、それはこの世に生まれ出るという不運だ。起源そのものに宿っていた攻撃的要因、膨張と熱狂の原理、起源にゆさぶりをかけたあの最悪のものへの突進、そこまでこの不運の源泉を遡ることができるだろう。 おれはおれを反出生主義者で…

小田嶋隆『上を向いてアルコール』を読む

上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白 作者: 小田嶋隆,木下晋也 出版社/メーカー: ミシマ社 発売日: 2018/02/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (7件) を見る おれはアルコール依存症なのか、そうではないのか、お…

『集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した』を読む

別冊100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した (教養・文化シリーズ) 作者: 佐々木閑 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2017/02/25 メディア: ムック この商品を含むブログ (2件) を見る 信仰は魂に属するが、宗教は知識である。 ……と…

おまえもイヌにしてやろうか - 深町秋生『ドッグ・メーカー』を読む

ドッグ・メーカー: 警視庁人事一課監察係 黒滝誠治 (新潮文庫) 作者: 深町秋生 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/07/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る カラオケのモニターを顎で指した。 「気晴らしに一曲歌っていったらどうだ」 …

海外詩文庫『ペソア詩集』を読む

ペソア詩集 (海外詩文庫) 作者: ペソア,澤田直 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 2008/08/01 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 9回 この商品を含むブログ (11件) を見る 「アルベルト・カエイロは私の師である」。この言葉はペソアの全作品の試金石であ…

南直哉『善の根拠』を読む

善の根拠 (講談社現代新書) 作者: 南直哉 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/12/17 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 本書における「倫理」とは、様々な条件に拘束されながら、様々な局面である行為を選択しなければならない時々に、「自己」…

フェルナンド・ペソア『不穏の書、断章』を読む

フェルナンド・ペソアって誰や。 フェルナンド・ペソア - Wikipedia フェルナンド・アントニオ・ノゲイラ・ペソア(Fernando António Nogueira Pessoa、1888年6月13日 - 1935年11月30日)はポルトガル出身の詩人・作家。 ポルトガルの国民的作家として著名で…

南直哉『恐山 死者のいる場所』を読む

恐山: 死者のいる場所 (新潮新書) 作者: 南直哉 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2012/04/17 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 13回 この商品を含むブログ (16件) を見る 南直哉というと、このあいだキリスト教徒との対談本を読んで知った人である。 gol…

池澤夏樹『ぼくたちが聖書について知りたかったこと』を読む

ぼくたちが聖書について知りたかったこと (小学館文庫) 作者: 池澤夏樹 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2012/12/06 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 4回 この商品を含むブログ (6件) を見る 信仰は魂に属するが、宗教は知識である。 本書の前書きはこ…

『禅と福音 仏教とキリスト教の対話』を読む

禅と福音: 仏教とキリスト教の対話 作者: 南直哉,来住英俊 出版社/メーカー: 春秋社 発売日: 2016/08/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 南 キリスト教の場合、「神がこの世界をつくった」とか「最後の審判がある」ということ…

末近浩太『イスラーム主義 ―もう一つの近代を構築する』を読みました

イスラーム主義――もう一つの近代を構想する (岩波新書) 作者: 末近浩太 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/01/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る おれにとって熱い宗教は仏教なのだが、ここ10年とかで世界を熱くさせていたのは良く…

【愛猫家激怒】梅崎春生、飼い猫いじめで炎上!

当時は仔猫であったけれども、一年経った今日では、ふてぶてしく肥り、見るからにあぶらぎって、身の丈は三尺ほどもある。ここで身の丈というのは、鼻の頭から尻尾の先までのこと。地面からの高さということであれば、それはほぼ一尺くらいだ。 そのカロが我…

不確実さを受け入れる 「ネガティブ・ケイパビリティ」について

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書) 作者: 帚木蓬生 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2017/04/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 図書館の本棚、心理学系のところ、帚木蓬生の本が目に入る。以…

おれってメランコリー親和型? ディスチミア親和型? 『うつ病論―双極II型障害とその周辺』を読む

うつ病論―双極2型障害とその周辺 (メンタルヘルス・ライブラリー) 作者: 高岡健,浅野弘毅 出版社/メーカー: 批評社 発売日: 2009/02/01 メディア: 単行本 クリック: 5回 この商品を含むブログ (3件) を見る 『精神医療』という雑誌に掲載された論文に加筆・…

もう一歩踏み込んでほしいんじゃ 宮内悠介『エクソダス症候群』

エクソダス症候群 (創元SF文庫) 作者: 宮内悠介 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2017/07/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「エクソダス症候群にはいくつかの相があります」 と、カズキは慎重に口を開いた。 「ですが、この開拓地での発…

深町秋生『猫に知られるなかれ』を読む

猫に知られるなかれ (ハルキ文庫) 作者: 深町秋生 出版社/メーカー: 角川春樹事務所 発売日: 2016/10/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 敗戦後の占領下(オキュパイド・ジャパン)での僅かな自由と尽きぬ貧困の中、日本の再独立と復興のため、…

「静かな」アルコール依存症予備軍が『酒乱になる人、ならない人』を読む

酒乱になる人、ならない人 (新潮新書) 作者: 真先敏弘 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/12/01 メディア: 新書 購入: 15人 クリック: 235回 この商品を含むブログ (11件) を見る 先日こんな記事に目を通した。 k-tai.watch.impress.co.jp ……先日読んだ…

『インド仏教はなぜ亡んだのか』そう、それが知りたかった……が! 

インド仏教はなぜ亡んだのか―イスラム史料からの考察 作者: 保坂俊司 出版社/メーカー: 北樹出版 発売日: 2003/05/01 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る このところ釈尊、すなわちゴータマ・シッダールタの時代の仏教、原始…

『酒づくりの民族誌』を読む

糖があれば、そしてそこに酵母と適度な湿気と温度があれば酒はできる。酵母は自然状態いくらでもいる。そうだとすれば、糖さえあれば酒はできるというわけである。それゆえ、漿果を集めて、放っておくと酒ができる。果実酒はこのようにして偶然にできたもの…