反出生主義 の検索結果:

おれは功利主義者になりたい。あと、ベンサムではなくベンタムでいきたい

…t.jp 功利主義。反出生主義者をやっていると、そう指摘される。では、功利主義はなんだろう? ということで、何冊か本を読んだ。 功利主義とは何か 作者:ピーター・シンガー,カタジナ・デ・ラザリ=ラデク 岩波書店 Amazon まさにこのタイトル、さらにピーター・シンガーは現代功利主義者の代表的な人……だけど、いきなり読むにはちょっと難しかった。いずれ再読する日はくるのか。 倫理学入門-アリストテレスから生殖技術、AIまで (中公新書 2598) 作者:品川 哲彦 中央公論新社…

おれはヴィーガンを馬鹿にしない

…意見だと思うのだが、反出生主義は)ことを言って、そのあたりはごまかす。果たしてそうなのか。しかしまあ、菜食主義でも十分足りるとかいう話らしいので、なんとかなるんじゃないのか。知らん。だいたい、もっと偏食な人間、それよりも絶対的に栄養が足りていない人間も大勢いる。世界には飢えも実在する。やはり人類はこれ以上増えるべきではない。 しかしまあ、なんだ、あれだ、たまにはガッツリ肉を食いたいよな。牛肉だな。おれは羊肉とかも好きだが、やはり牛肉にはなにか違うものがある。最上級の豚肉より、…

地球の適正人口が知りたい

…けれど。 あ、おれは反出生主義者なので、「とにかくもう不幸を生み出すだけだから、人間は人間の製造をやめよう」というの根底にあるけれど、なにかこう、「地球の人口」みたいになると、反出生主義はもっと小さなものを扱うようなもののような気がして、なにか適用しがたいというか、次元の違う話のように思えてしまう。なんだろうね。 というわけで、やっぱり地球やばいかな、というところはある。が、しかし、なんだろうか、もっと公平に富や食料が分配され、あるいは今のような食生活を捨てて、みんなでソイレ…

非暴力服従主義宣言

…態になくとも、金を稼ぐ力のないものは、ほとんど生きる資格を奪われて、苦しみの中で息をして、水を飲んで、死ぬしかない。そこに一切の幸福はない。この世は地獄である。 そこでおれはプラグマティックに提案するのである。人間が生まれるから不幸が生産されるのである。人間の生産をやめれば、不幸の絶対量が減る。反出生主義、これである。人間は理性によって滅んでもよい。そうでなければ強いものが弱いものを暴力で従わせ、殺し、弱いものがさらに弱いものを殺す、そのブルースが響き渡って止まることはない。

映画『ベイビー・ブローカー』を観るのこと

…シーンがある。おれは反出生主義者だが、生まれてきてしまったものは肯定する以外ないと思っているので、納得のいくシーンではある。とはいえ、そういったメッセージ性のみに注目してももったいない。子役、赤ちゃん役を含めて、みごとな演技を見せてくれる。 それにしてもなんだろうか、外国人が映した日本、というものがあったとして、それが単になんの演出もない風景だとしても、どこかしら日本人が違和感を抱くということがあると思う。この映画について、監督名を隠されていれば「韓国映画だな」と思うだろうが…

生と死とセガサターンと人間の歴史 長嶋有『もう生まれたくない』を読む

…ランを飲んでいたのに、安いニッカになるというのもリアルだ。 本書を手にとったのは、栗原康の『アナキスト本を読む』で紹介されていたからだ。題名からは反出生主義でも思い浮かべそうなものだが、とくにそういうものではない。しかし、そう思ってもいいような余地は残されている。どことなくユーモラスな背景に、なにかそれだけではない不穏さが含まれている。 おれは長嶋有の小説をはじめて読んだが、「このようなものが現代小説なのか」という、ある種の驚きもあって、また手に取ることになると思う。 以上。

黄金頭さんが2021年に読んでよかった本

…であった。とはいえ、反出生主義というものの、日本人が書いた本として、とりあえず一冊出してくれたことにはありがたく思おう。そして、「誕生否定」と「出産否定」の二つに分けてくれたことは、一つの前進ではないのか。おれが興味あるのは本書で主に取り扱っていない方の「出産否定」である。 生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ! (筑摩選書) 作者:正博, 森岡 筑摩書房 Amazon 『にょっ記』 goldhead.hatenablog.com おれは今年、穂村弘の本に出会…

黄金頭さんの「買ってよかった2021」

…し、たまにめくる。めくらなくてもいい。シオランの『カイエ』があればおれは安心できるし、これを所有することの喜びにまさるものはない。 カイエ: 1957-1972 作者:シオラン 法政大学出版局 Amazon まあ、いきなり『カイエ』買うこともないけれど。 生誕の災厄 〈新装版〉 作者:E. M. シオラン 紀伊國屋書店 Amazon 知らないあいだに「新装版」が出ていた。シオランは見直されるべきだし、反出生主義は今後の社会、思想において重要な地位を占めるように思える。 以上。

日本には力強いおっさんが少ない 『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』を読む

…。いかにアナキズムと反出生主義を語ろうとも、語る相手がいないのでネットに書き散らすだけだ。毎晩死にたいと思って、狭いアパートで過剰飲酒をしている。終わってる。 日本のおっさんは終わっている。しかし、どうもハマータウンのおっさんたちは終わっていないように見える。野太い力強さがある。生きているって感じがする。労働者であることはなにか。労働者が歯向かうべきはなにか。そのあたりについて自覚がある。ブレグジットなどでは、その対象についてどうしたものかと戸惑ったところもあるようだが、どう…

ライトなビジネス書『宗教と哲学全史』を読む

…分もあるし、なにより反出生主義者のおれにとっては斉家は相容れない。でもまあ、こんな価値観で政治家なんかが見られたりするのは、この現代においても変わらないよな、というところはある。儒教は根強い。 話は少し横道に逸れますが、小島毅『天皇と儒教思想―伝統はいかに創られたのか』(光文社新書)という本があります。これは明治国家が天皇を中心とする国づくりを行う上で、いかに儒教の体系的なイデオロギーを借用して制度づくりに励んだかを明証したものです。 逆にいえば、わが国の神道は、あまりにも没…

パンを軽視すると薔薇も枯れます 『そろそろ左派は<経済>を語ろう』を読む

…います。 (松尾) 反出生主義者としておれが言うに、「税金を納めてくれる」などという理由で、新しい不幸を作っていいのかという話だ。この悲惨な世界に歓迎されるどころか、最初から重荷と不幸を背負うべきものとして人間を生産するのが望ましいのか。「右派」であろうが「左派」であろうが考えなおしてもらいたい。それが人道的なのか? そこにヒューマニティはあるのか? 人間がこれ以上、生誕という厄災を繰り返していいのか? 所詮、そっちから見ても生まれてくる人間をロボットとしての労働力としてしか…

おれの好きな小説10選

…る。とはいえ、おれの反出生主義にぴったりくるところもあるし、ポルトガルにこんなに感覚の合う作家がいたのか、という驚きもあって入れてみる。悪くない。いいところを引用してみようとすれば、一冊全部になりかねないほどのやばい作家だ。なんだかわからんが、不安や不穏を求めているなら、ちょっと読んでみてほしい。断章、からでもいい。 新編 不穏の書、断章 (平凡社ライブラリー780) 作者:フェルナン・ペソア 平凡社 Amazon ……ふー。あー。こんなんかなー。なんかね、「小説」という区切…

知りすぎた人類の明日はどっちだ?

…す。それこそ、個体として反出生主義的な発想に行き着くこともあるでしょうし、人類は減るかもしれない。 人類が減ること自体は、ひょっとしたら地球環境の存続にいいことかもしれませんが、減りすぎて滅ぶかもしれない。それで滅んだら、それはそれでなかなかにユニークじゃないかと思うのですが、なにと比較してユニークなのかよくわからない。 そこで、最後の人類が宇宙のどこかに向けて、この人類史の終焉のいきさつを送り出したらいいな、などと、またSF的な妄想をするわけです。さよなら人類。 おしまい。

反出生主義者は幸福を追求する

…ただきました。 また反出生主義の話になります。 お読みくだされば幸いです。 お読みくださいました? お読みくださったんすか? ……というわけで、「反出生主義者とは何か」と題されているけれど、内容的には「反出生主義ではないものはなにか」というような内容にもなっているかと思う。反出生主義は、人間存在の根源であるところの「生」を取り扱う以上、いろいろな問題と隣り合わせになっているのは避けられないことである。 そして、それら隣接する考え方との癒着を見出し、そこに批判が加えられることも…

穂村弘 『世界音痴』を読む

…、おれが誕生否定系の反出生主義者であるのは、世界に「ここに行けば一人分の場所が確かにあって、私を待ってくれてるんだ」という安心がないところを悲観してのことだと思う。わけもわからず勝手に生み出されてみたら、不安だらけの自由席を奪い合えという。この世に新たに生まれる人一人一生生きる指定席がまんべんなく用意されたら、おれは反出生主義を引っ込めてもいい。 「人生の経験値」は『現実入門』という本のもとになったとされる一編だ。 goldhead.hatenablog.com この「人生の…

反出生主義者はへこたれない 森岡正博『生まれてこないほうが良かったのか?』を読む

…フトカバー) おれは反出生主義者を自認している。 おれの反出生主義は、シオランを読んで目覚めたものでもなければ、べネターを読んだせいでも、ショーペンハウアーから学んだわけでもない。 まず、おれの中から生じてきた思いがあって、その後に「反出生主義」という言葉を知ったのだ。 反出生主義、この世に生まれ出るという不運―シオラン『生誕の災厄』を読む - 関内関外日記 べつに今いるのを殺すことはないけれど、これ以上増やさなくてもいいとはわりと本気で思う。 おれはこれを書いたとき「これだ…

ビギナーズ・クラシックス日本の古典『梁塵秘抄』を読む

…梁塵秘抄』だった。 反出生主義者が、「死」に思いを馳せてみる。 | Books&Apps 生と死の二冊の対談本について - 関内関外日記 おれは『梁塵秘抄』を読んでみっか、と思った。もちろんビギナーなので、角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックスを手にとってみた。 というか、手に取る時点でおれは本棚のどこを探すか大間違いしていた。おれは『梁塵秘抄』は仏教関連本と思い込んでいたのだ。違うのだな。あくまで「今様を残す」という書物(の一部)なのだ。その今様のなかに仏を歌ったものが…

文明をデチューンできないものか?

…減ってもいい いや、反出生主義者であるという面から言えば、べつに人間は滅んでもいいわけです。優秀で恵まれた人間が優秀で恵まれた人間のみを再生産し(自然発生的な優生主義?)、少数の優秀な人間だけで生きていく。雑用はすべてロボットがやる。そんなもの、生産が続かないから減って人類が消滅する。べつにそれでもいいでしょう。 2.夢のベーシックインカム的な楽園が訪れる。 「夢の」ですよ。なにがどこまで現実的なベーシックインカムなのかよくわからない。夢のベーシックインカム世界では、だいたい…

生と死の二冊の対談本について

blog.tinect.jp またBooks&Appsさんに寄稿させていただきました。また場違いな話なような気もしますが、ありがたいことです。よろしくお願いいたします。 新版 死を想う (平凡社新書0884) 作者:石牟礼 道子,伊藤 比呂美 発売日: 2018/07/13 メディア: Kindle版 こちらの本の感想ということになります。そして、この感想文には兄弟だか姉妹だかがいるのです。 goldhead.hatenablog.com 高村薫・南直哉『生死の覚悟』、これで…

老いてますます盛んなことについて

…くさんいるわけです。SF作家というのは稀有なプレコグなのですから、そうなってもおかしくない。 生老病死。老いは克服されつつある。病いも医療技術が進展すれば克服されるかもしれない。死、これについてはどうだろう。人間は死を逃れることができるのか。できたところで、そこに幸福はあるのか? よくわからないおれは、反出生主義者として、いの一番の「生」をやめればいいのだと言いたいのですが、一方でSF者としてのおれは、なんらかのユートピア、克服された四苦を想像しないわけでもないのであります。

鹿島茂『悪の箴言 耳をふさぎたくなる270の言葉』を読む

…まった。そのわりに、反出生主義的側面についてはあまりひいていないのだけれど。 「生まれないこと、それを考えただけで、なんという幸福、なんという自由、なんという広やかな空間に恵まれることか!」 シオラン『生誕の災厄』 注意してほしいが、「生まれないこと」は「死ぬこと」ではない。これを勘違いして、「反出生主義はとっとと自死すればいい」というようなことを言う人がいるが、明らかな間違いだ。死ぬことと生まれないことは違う。 シオランはさらに突き詰める。 「大事なのは私一個の始原などでは…

考えることを考えること/Books&Appsさんに寄稿をいたしました

…込んでいる考え方が「反出生主義」だ。これについては主義者呼ばわりされてもいいだろう。 goldhead.hatenablog.com これも、漠然と考えていたことに名前がついていて、さらにシオラン(べネターも読んだけど)みたいな強烈な代物に触れて、すっかりおれの中で納得できてしまったのだ。 もちろん、おれの考えが変わる可能性がないわけでもない。いきなり出生主義者(?)に転向するかもしれない。考えは尽きない。 考えは尽きない、というのはいい。だから、できるだけいろいろなことにつ…

南直哉『語る禅僧』を読む

…などはその克服として反出生主義に傾いているのだが、ともかくそういうことなのだ。 ……私たちは選択の自由があって生まれてきたわけではないし、死ぬのに理由を教えてもらえるわけでもない。それは単なる事実として、無根拠にこの世に炸裂する事実、すなわち「問い」である。 始めと終わりに根拠がないのに、中間にそれがある道理もない。ならば、全体として、それ自体、無根拠で無意味である。我々は、意味や価値があって生きているのではなく、生きていることが意味や価値をつくることなのだ。これを称して仏教…

人間たちの世界のおわりに

いったいおれたちはいつまでマスクしつづけなきゃいけねえんだ。いま、神奈川県にどれだけの新規感染判明者がいるっていうんだ。もう、市中感染の危険性なんてほとんどねえんじゃねえのか。マスクの暑さがそう言い立てる。おれに答えはない。答えが風に吹かれているわけでもない。でもきっとマスクの暑さがなしくずし的に人々からそのマナー中止、やめやめってなっていって、そして秋が来て、冬が来て、おれたちは750ライダーのように走り出して、またトーキョー・アラートが鳴り響くんだ。秋も冬も、夏も待てない…

ジャンケンで負けたほうが親父の始末をしよう

…尽くしがたい。そのようなことは繰り返されるべきではない。このような不幸を避けるためにも、シオランでも読んで、反出生主義について思いを巡らせてみてはどうだろうか? <°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡 <°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡 <°)))彡<°)))彡<°)))彡<°)))彡 生誕の災厄 作者:E.M.シオラン 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 1976/02/01 メディア: 単行本 goldhead.hatenablog.com

『言葉なんかおぼえるんじゃなかった』田村隆一(語り)・長薗安浩(文)……再読

…は。 なっ。 おれは反出生主義者なので、一年間の、というのは共感できるところではない。だが、五回だったか結婚した田村隆一の役に立つアドバイスだろう。ちなみに田村隆一は、一年経ったら「できるだけ早く子供をつくることだ。男子一人、女子一人が理想」と言っている。 男の顔なんて、せいぜいヒゲを剃ってクリームを塗るぐらいだろう。まあ、鼻毛もあるけどな。鼻毛って言えば、男は鼻毛を切って白髪を見つけたときに、“人生の秋”を知るんだ(笑) これはもう、おれも人生の秋を知った人間として言うのだ…

おれとおまえと大五郎の寛容は不寛容に対して寛容たるべきか問題

…おれはシオラン好きの反出生主義者だ)、いかんともしがたい自我というようなものがあって、あるいは実存とでもいうべきものを頭から否定し難く思う。 そして、なんらかの、小さな関係、「おれとおまえ」、あるいは家族レベルのなにかがあって、さらにその上の社会、あるいは国家といっていいのか、そういったものがある。ただ、「おれとおまえ」を飛び越えた、個人と社会の関係というものもあるだろう。 はたして、それをきれいに腑分けしたところから話を始めるべきなのだろうか。ただ、おれの予測では、腑分けす…

『反出生主義を考える』(「現代思想2019年11月号」)を読む

おれは反出生主義者である。 おれが反出生主義者になったのは、エミール・シオランを読んだからではない。ましてやデイヴィッド・べネターを読んだからでもない。 おれの反出生主義は、おれというおれ以外にいないおれが生きてきてたなかで、自然とそうなったものである。その背景にいくらか仏教の影響(おれの考える仏教が仏教として正しいとは言えない)があったかもしれない。 おれが「これだ」と思った瞬間については記録がある。 goldhead.hatenablog.com おれはおれを反出生主義者…

おれはシオランを読んだ。おれは無人島にこの本を持っていく(シオラン『カイエ』を読み終わる-02)

…傾倒、暴君への讃美、反出生主義、モンゴルへの憧れ、そんなものでも満たされている。そして、それは異様な魅力を放っている。 というわけで、「無人島になにか一冊本を持っていけるのなら?」という問いに、今のおれは迷わず「シオランの『カイエ』」と答えるだろう。ときにキリスト教への道が述べられ、ときに仏教への道が述べられ、なにより生身のシオランのいくつもの矛盾した態度が率直に述べられている。身近な人間の死、自死、しかし、人類の滅亡を夢見るシオラン。これは、飽きない。おれはハイデガーもボー…

シオランとセリーヌ、シオランとペソア(シオラン『カイエ』を読み終わる-01)

…る。 おれは、おれの反出生主義について、まずペソアで発見できたようなところがある。それゆえに、シオランがペソアに言及するところは、意外でもあり、納得できるようなところでもあった。シオランはスペインへの愛着を何度も語っているが、ポルトガルの紙幣になるような(それをするポルトガルという国もすごいと思うが)ペソアへの言及、これは「おっ」と思った。 ペソーアのある手紙の翻訳で、訳者は<心的危機>という表現を用いているが――ここは<精神の危機>とすべきだろう。というのも、それは意気消沈…