感想文

『13日間で「名文」を書けるようになる方法』(高橋源一郎)を読む

横浜市中央図書館の三階ってのは妙な階で、横浜市にまつわる資料と、昔の新聞の縮刷版とかいうやつと、なぜか言葉についての本が置いてある。なんで言葉に関する本が三階にあるのかおれにはわからない。おれはこの間、三階に久々に寄ってみた。そしたら、こ…

マルク・マソン『双極性障害』を読む

おれは双極性障害を患っている。なので、双極性障害について語られているものを読むと、いっちょかみしたくなる。が、おれはあくまで高卒の一患者なのである。医師でもカウンセラーでもなんでもない。単なる当事者だ。だが、当事者は語りたい。そして、語る…

ケン・リュウ『紙の動物園』を読む

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者: ケンリュウ 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2015/05/29 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (10件) を見る ケン・リュウの短編集である。短編集のタイトルになった「紙の動物園」がトップ・バッター…

いま話題の中国SFとは? 『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』を読む

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036) 作者: 郝景芳,ケンリュウ,牧野千穂,中原尚哉,大谷真弓,鳴庭真人,古沢嘉通 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/02/20 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ …

お医者さんを信じていいの? 『「最悪」の医療の歴史』を読む

「最悪」の医療の歴史 作者: ネイサンベロフスキー,Nathan Belofsky,伊藤はるみ 出版社/メーカー: 原書房 発売日: 2014/01/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 古代ギリシア時代からリンカーンの頃まで、医療は人間に益より害を与えることのほ…

映画感想文『天気の子』

美しい娘の物語は、年とった人たちの心にも、豊かな期待を起こさせるものと見えて、このわたしどもの国にも、そうした話がたくさん残っていて、幼い耳へ順ぐりに、吹き込まれ吹き込まれして参りました。これも、そう言う噂の一つなのです。 「神の嫁」折口信…

ダンセイニ卿『ウィスキー&ジョーキンズ』を読む

お前はダンセイニ卿を知っているだろうか? ロード・ダンセイニを? 知らないというのであれば、ともかく『ペガーナの神々』を、『世界の崖の物語』を、『夢見る人の物語』を読むべきである。こんなブログを読んでいる暇があるのならば、すぐさまブラウザを…

映画『ペンギン・ハイウェイ』を見るのこと

映画『ペンギン・ハイウェイ』を見た。事前知識としては、「ペンギンが出てくる」、「おっぱい」の二つくらいであった。 われながらむずかしい書き出しをしてしまった。どう話を繋げろというのか。ペンギンは出てきた。おっぱいはどうだったのか。 そもそも…

おまえ、マイティだったんか! 『凪待ち』ふたたび

今日、こんな記事を読んだ。 www.tbsradio.jp 宇多丸が映画『凪待ち』について語っている……のの書き起こしである。そこにこんなことが書かれていた。 とにかく、競輪場がないはずの石巻に、それでもやっぱりぽっかり口を開けて待っている、社会の落し穴。こ…

2019年春アニメ完走の感想

2019年春アニメ……は、やや不作という意見をちらほら見かける。おれとしても、気づいてみたら視聴継続しているアニメがかなり少なくなっていた。メモを残す。 2019春アニメ一覧|前期(4月放送開始)アニメ情報 | アニメイトタイムズ こちらのサイトを参考に…

50年代ハリウッド好きにはたまらないかも? コーエン兄弟『ヘイル、シーザー!』

ヘイル、シーザー! (字幕版) 発売日: 2016/07/20 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (2件) を見る おれは一時期コーエン兄弟にはまっていて、心の監督ベストテン第一位だったこともある。が、いつの間にかランクが下がっていて、この『ヘイル、シ…

マ・ドンソクを味わうなら、キム・ギドク『殺されたミンジュ』を

殺されたミンジュ 発売日: 2018/01/17 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る このところ、マ・ドンシクが熱いらしい。よし、おれもマ・ドンソクを見るか、ということになる。検索してみると、『殺されたミンジュ』という映画が出てくる。なんと…

シューベルトの、眼鏡! 『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』展(国立新美術館)に寄るのこと

www.nact.jp クリスチャン・ボルタンスキー展を見終えたあと、女がいろいろの展覧会のパンフを手にしながら言った。「これ、おもしろそうじゃない?」。 それは、『ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道』だった。いつ、どこでやっているのか。今…

クリスチャン・ボルタンスキー展『Lifetime』(国立新美術館)へ行く

www.nact.jp 女が「ボルタンスキー展に行かないか」というので、「ああ、ボルタンスキー、いいですね」と応えた。断っておくが、おれはマルゼンスキーやヤマニンスキーを知っていても、ボルタンスキーというのは聞いたことがなかった。 というわけで、久々の…

香取慎吾のクズっぷりはどうだったか―映画『凪待ち』を観る

映画『凪待ち』予告(30秒) 映画『凪待ち』を観てきた。おれがおそらくいま世界中で一番好きな監督であろう白石和彌作品である。 そして、香取慎吾の主演作品なのである。香取慎吾と映画……というと、あまり観ていないのになにか言うのもどうかと思うが、あ…

でも、おれの人生が暗いのはなぜなんだぜ? 『進歩 人類の未来が明るい10の理由』を読む

進歩: 人類の未来が明るい10の理由 作者: ヨハンノルベリ,Johan Norberg,山形浩生 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2018/04/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 山形浩生による「訳者解説」から引用する。 本書については、紹介が一言…

このごろラッキーオールドサン聴いてる

このごろなにを聴いているかというとラッキーオールドサンの『ラッキーオールドサン』を繰り返し聴いたりしている。 ラッキーオールドサンは、たまたまラジオで新曲が流れていたのを聴いて、「なんかいいな」と思って、それでその曲は入ってないんだけれど、…

じいさん、面白かったぜ! クリント・イーストウッド『運び屋』を見る

運び屋(字幕版) 発売日: 2019/05/08 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 運び屋 (映画) - Wikipedia ヘメロカリスの園芸家だった90歳のじいさんが、インターネットの流行に負けて廃業。そこへ、麻薬の運び屋(Mule……ラバ。俗語で麻薬の運び屋…

津原泰水『11 eleven』をすべて読めない

11 eleven (河出文庫) 作者: 津原泰水 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/04/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (14件) を見る まったくかなわんよな、と思った。 なにがどう「かなわん」のかはどう受け取ってもらってもかまわんのだけれど…

『さらざんまい』についてなにも語れない馬鹿ってどうやって生きてるの?

#1 つながりたいけど、偽りたい メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る アニメ『さらざんまい』が最終回を迎えた。おれはそれを見た。それを見て思った。「なにもわからん」と。 おれにはおれの知の壁というものを意識できる能力があると思って…

「最強の平成漫画」というと『闇金ウシジマくん』ということになろう

もしも外国人の知り合いに「ここんところの日本がわかるような映画ってあるかい?」と尋ねられたら、おれは迷うことなく「それは『闇金ウシジマくん』だね」と答えるだろう。おれに外国人の知り合いはいない。 元号で時代を区切るということにどれだけの意味…

『ニンジャバットマン』を見たり

ニンジャバットマン 発売日: 2018/10/10 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 『ニンジャバットマン』である。おれはこの作品の劇場公開前のコマーシャルなどを見て「おもしろそうだな」と思った。思ったが、劇場には行かなかった。それはその…

日夏耿之介の言うこと

こないだ金子光晴の随筆かなんか読んでて「やっぱ日夏耿之介だよな」みたいなこと言ってたから、「日夏耿之介、読んでみるか」って思ったのよ。でも、詩集ちょっとめくってみたら、「あかん、これ、おれの国語能力では読めん」ってなったの。まあ、読めない…

『リズと青い鳥』を見る

リズと青い鳥[Blu-ray] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2018/12/05 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (2件) を見る 『響け!』のスピンオフで、非常に評判が良かったような気がする。「これは絶対に見なければな」と思いつつ、いまさらな…

『さよならの朝に約束の花をかざろう』を見た

ちゃんとしたタイトル(カタカナかひらがなか漢字か、など)を打たなきゃな、とおれが検索した文字列は「約束の朝にさよならの花をかざろう」だった。 さよならの朝に約束の花をかざろう(レンタル版) 発売日: 2018/10/26 メディア: Prime Video この商品を…

映画『悪女』を観た(しばらく前に)

悪女 AKUJO(字幕版) 発売日: 2018/06/22 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (1件) を見る けっこう前に見た。なので、おれの中でそうとうに細部が削ぎ落とされて、失われている。 逆にいえば、今おれのなかに残っている映画『悪女』の印象という…

『人種は存在しない 人種問題と遺伝子』を読む

先日、こんな記事を読んだ。 「人種」の概念、科学で使わないで 米で差別助長を懸念:朝日新聞デジタル "「人種」の概念、科学で使わないで 米で差別助長を懸念"ということだ。 差別や誤解に対し、米人類遺伝学会(ASHG)は昨年10月、「人種差別のイデ…

おまえは『プロメア』を観るべきだろうか?

『天元突破グレンラガン』も『キルラキル』も好き 『天元突破グレンラガン』は好きだが『キルラキル』はそうでもない 『天元突破グレンラガン』はいまいちだが『キルラキル』は好き 『天元突破グレンラガン』も『キルラキル』も好みではない アニメは見ない…

タコスが急にかっこよすぎて泣きそうになるからおれは『咲-Saki-』を読み続けるのだじぇ

小林立『咲-Saki-』19巻16ページより おれは『咲-Saki-』シリーズの熱心な読者というわけではないかもしれない。それでもおれは『咲-Saki-』シリーズの読者ではあると思う。本編はすべて買ったし、『阿知賀編』もすべて買ったし、『咲日和』もすべて買った(…

never young beach『STORY』を聴く

この歳にもなれば、デビューしたときからずっと好き、というミュージシャンという存在もできるようなる。とはいえ、おれはほとんどライブに行くような人間ではないので、メジャーデビューアルバムあたりから、ということになるが。 たとえば、Suedeであり、…