感想文

植物みんな毒だらけ 『邪惡な植物』を読む

おれと植物、植物とおれ。おれは植物に興味が無いわけではありません。しかし、植物が好きなのか、詳しいのかと言われると、それはあやしい。あやしいどころではない。だいたいにして、そこらに生えている草木を見て「何か」と同定することはほとんどできま…

おれが読めなかった小説、たとえば『地図になかった世界』

おれは読んだ本についてこの日記に書きつけていることにしている。読んだ本、読了した本だ。その背後には、読みさしで放置された本、期限が来て図書館に返却された本が、わりと、たくさん、ある。 「今はなんか気分が向かないな」というのもあるし、「おれに…

映画『金子文子と朴烈』の感想

なぜ私は『金子文子と朴烈』を映画館まで見に行ったのか? これは言うまでもなく、おれが金子文子の『何がわたしをこうさせたか』に深い感銘を受け、これほどの本はめったにないぜ、と思っていたからである。 goldhead.hatenablog.com とはいえ、世の中それ…

2019年冬アニメ振り返り

2019年冬アニメを振り返る。全体として、視聴した量は少なかった。作品への好き嫌い、あるいは質などというものとは関係なく、年度末という疲れる季節だから、というのは大きい。季節が違えば、べつに2倍の量を完走していたっておかしくはないのだ。 2019冬…

君はナンシー・ケリガン襲撃事件を覚えているか? 映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』を見る

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(字幕版) 発売日: 2018/11/21 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 君は「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を覚えているだろうか。おれはうっすらと覚えている。もちろん、トーニャ・ハーディングという名前…

今さらネタバレもないだろうが……『カメラを止めるな!』で再生を止める

カメラを止めるな! 発売日: 2018/10/27 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (2件) を見る 今さらながらに『カメラを止めるな!』を見た。なんとなく見る機会を逃しつつ、「今度テレビ放送があるのか、それで見るか」と思いつつも仕事で帰れず、よ…

ウィース・タン! 『天冥の標』を読了する

天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 小川一水 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/12/19 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 天冥の標? 青葉よ、豊かなれ PART2 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 小川一水 出版社/メーカー: 早川…

何映画? 『サニー/32』

何映画? かよく知らずに借りた。ちなみに、おれが「借りた」のはネットで借りてポストで返却のサービスであって、ネット配信が中心になった今、なぜそんな割高で面倒なサービスを使っているかというと……別の話なのでいずれ書くか。 まあいい、借りたのに見…

澁澤龍彦好きは、近藤ようこの『高丘親王航海記』を読むべし

Twitterのタイムラインをつらつら眺めていたら、「コミックビーム」誌で『高丘親王航海記』の連載が始まるという記事が流れてきた。おれはすぐに楽天ブックスにアクセス、購入ボタンを押した(電子書籍ではないの? いや、だってどの電子書籍サービスがいい…

これは必見やよ、映画『スリー・ビルボード』

スリー・ビルボード (字幕版) 発売日: 2018/05/16 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (5件) を見る 「ビルボード」の方が「ビルボーズ」よりカタカナ語としては馴染みがるのはわかる。わかるが、やはり複数形では? 原題は『Three Billboards Outs…

おれはシオランを読んだ。おれは無人島にこの本を持っていく(シオラン『カイエ』を読み終わる-02)

おれには「○○を読んだ」と呼べる作家は少ない。唯一セリーヌのみが、全集を読んだよいう意味で「おれはセリーヌを読んだ」と言えるかもしれない。とはいえ、だんだんと苦痛となってきて、しっかり読んだと言えるかはあやしい。ほとんど読んではいるが、いく…

シオランとセリーヌ、シオランとペソア(シオラン『カイエ』を読み終わる-01)

カイエ 1957‐1972 作者: シオラン,Cioran,金井裕 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 2006/09/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る シオランは1911年に(望まなくして)生まれ、1995年に死んだ。セリーヌは1894年に生まれ、1961年…

新聞紙の薄っぺらさよ-『異教の隣人』を読む

異教の隣人 作者: 釈徹宗,細川貂々,毎日新聞「異教の隣人」取材班 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2018/10/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『不干斎ハビアン』の著者である釈徹宗が、日本に住むいろいろの異教徒と対話するのだから、これ…

映画『二十六夜待ち』を観る

二十六夜待ち 発売日: 2018/06/06 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 井浦新というと、おれのなかで「一翻つく」役者である。ドラでも赤五か花牌という具合である。麻雀をわからぬ人に説明すれば……面倒だからしない。ともかく、出ているだけ…

『知性は死なない』が……?

知性は死なない 平成の鬱をこえて 作者: 與那覇潤 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/04/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (8件) を見る 双極性障害を患わった知識人である著者による平成回顧である。おれはおれ自身が双極性障害(II型)であ…

映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』を観る

タクシー運転手 ?約束は海を越えて?(字幕版) 発売日: 2018/11/02 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る タクシーからギューンとウィングが出てきて、時速300km/hオーバーでパリを疾走する……映画ではない。なにかレトロで可愛らしいオンボロタク…

『進化倫理学入門』を読んだ……のか?

進化倫理学入門 作者: スコット・ジェイムズ,児玉聡 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会 発売日: 2018/01/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る この本を読んだ……のか? ということになる。一応、日本語で書かれている文字はすべて目を通…

新しいマズローのピラミッド ダグラス・ケンリック『野蛮な進化心理学』を読む

野蛮な進化心理学―殺人とセックスが解き明かす人間行動の謎 作者: ダグラス・ケンリック,山形浩生,森本正史 出版社/メーカー: 白揚社 発売日: 2014/07/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (12件) を見る おれは目下のところ進化心理学が好きだ。そし…

映画『三度目の殺人』を観る

三度目の殺人 発売日: 2018/03/07 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (6件) を見る 三度目の殺人 Blu-rayスペシャルエディション 出版社/メーカー: アミューズ 発売日: 2018/03/07 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (4件) を見る もう、テ…

映画『全員死刑』……ラーメンが獣臭い度★★★☆☆

全員死刑 発売日: 2018/05/02 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (2件) を見る 全員死刑【Blu-ray&DVD】(期間限定生産) 出版社/メーカー: アルバトロス 発売日: 2018/05/02 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (1件) を見る 『孤高の遠吠』の…

また会おう、カントリー。『ブラッド・エルドレッド 広島を愛し、広島に愛された男』を読む

ブラッド・エルドレッド~広島を愛し、広島に愛された男 作者: ブラッド・エルドレッド 出版社/メーカー: 洋泉社 発売日: 2018/02/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る プロ入り後、アメリカで数多くのチームに在籍したけど、将…

こいつはどこに歩いていこうとしているのか ― 黄金頭『ずったら ずったら 関内関外日記アンソロジー』を読む

黄金頭の『ずったら ずったら』を読んだ。まず第一に言いたいのだが、文字が小さいのだ。そして、その文字がぎゅうぎゅう詰めになっている。11編の断片がそれぞれ勝手に主張していて、それがなにかひとつの「圧」になっている。文章は悪くない。いろいろな作…

チャールズ・ブコウスキー『ワインの染みがついたノートからの断片』を読む

ワインの染みがついたノートからの断片 -未収録+未公開作品集- 作者: チャールズ・ブコウスキー,中川五郎 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2016/07/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る おれとブコウスキー、ブコウスキーとおれ(←だれ…

死に向かって、淡々と―レイモンド・カーヴァー『滝への新しい小径』を読む

滝への新しい小径 (村上春樹翻訳ライブラリー) 作者: レイモンドカーヴァー,Raymond Carver,村上春樹 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2009/01/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 4回 この商品を含むブログ (9件) を見る 読んでいたようで、読…

『なぜペニスはそんな形なのか』ジェシー・ベリング

なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学 作者: Jesse Bering,鈴木光太郎 出版社/メーカー: 化学同人 発売日: 2017/03/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る というわけで、なにもかも言ってしまうことから始めよ…

幽玄でも無限でもなく - 桜玉吉『伊豆漫玉ブルース』

伊豆漫玉ブルース (ビームコミックス) 作者: 桜玉吉 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/01/12 メディア: コミック この商品を含むブログを見る おれと桜玉吉。桜玉吉とおれ。おれは「ファミ通」の「コン」と「信」が行方不明になる前から「ファミ通」…

チャールズ・ブコウスキー『指がちょっと血を流し始めるまでパーカッション楽器のように酔っぱらったピアノを弾け』を読む

酒を飲み 競馬をし 詩に賭ける以上に することもなし ブコウスキー詩集―指がちょっと血を流し始めるまでパーカッション楽器のように酔っぱらったピアノを弾け 作者: チャールズブコウスキー,Charles Bukowski,中上哲夫 出版社/メーカー: 新宿書房 発売日: 19…

エミリー・ディキンスンをちょっとだけ読む

シオランの『カイエ』を読んでいると、何回か繰り返し出てくる事柄がある。モンゴル、日本、そして詩人エミリー・ディキンスンである。エミリー・ディキンスンを賛美するというか、心酔しているというか、崇めているというか、えらい調子なのである。そこま…

正月から『若おかみは小学生!』を観て精神崩壊

ありがちな話ってので、悪の大魔王とか、不幸な身の上の悪鬼羅刹だとか、心を持たぬ殺戮コンピュータなんかに、正義の味方が力や技では勝てなくて、それでも、なんか愛とか慈愛とか、優しさに包んだりして、「わ、私にもまだ心というものが……」とかいって浄…

黄金頭さんが2018年読んだ本から5冊おすすめするの回

ブロガーいうもんは(……以下略)。 というわけで、5冊ほどよかった本をおすすめしたい。もちろんのことながら、おれは新刊などあまり読まない。読めない。死んだ人間の本の方が好きである。 シオラン 5冊、とかいっておいて、いきなり著者名というのはおかし…